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サブカル大蔵経471『北海道のトリセツ』(昭文社)

本書の、特に明治以降の記事を読んで、道民共通の言説〈北海道には歴史がない〉は誤解であり、国のミスリーディングだと思いました。そのくらい北海道の勢いがすさまじく、日本初が目白押し。開拓も道路も鉄道も、全て軍事とエネルギーのために。

国を背負う使命感が、犠牲になり、残された廃墟となる虚しさ。寿都と神恵内の核ごみ応募問題もその延長だと思いました。

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札幌市の面積は東京23区を超える広さだp.31

 盆参りに札幌の檀家さんの家を二日かけて車でまわるのですが、広いなーと思ってました。

神居古潭渓谷は変成岩を容易に観察できる国内有数の地であり国内外の研究者が訪れる事でもある。p.40

うしおととらとタモリと原武史さんが来てくれた場所。

野付半島、尾岱沼p.43

 ここは、高校生の時に自転車で来てテントで野宿した思い出の地です。

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幌延町営簡易軌道。問寒別二十線p.63

 自分の中で、この廃路線巡りがこれからの目標になりそうです。

宗谷本線はもともと樺太への連絡船として建設された。p.69

 寺の最寄駅である永山駅も宗谷本線なのですが、もともと壮大な計画だったんですね。国際列車が走ったかも。ロマンあるな……。

文化の境界。p.77

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 この分割線、浄土真宗本願寺派北海道教区宗会選挙区の分割線と一緒でびっくり。普段意識しないのに、分断があるのかも。

北の民アイヌ、樺太進出を狙い、元と戦う。p.83

 北海道新聞でも報道されていた史料。可哀想な静のアイヌではなく、動のアイヌ。

モンゴルに臣従したギリヤーク(吉里迷)は、樺太はたびたびアイヌ(骨山鬼)に侵攻されて困っていると皇帝クビライ(フビライハン)に訴えた。このような経緯でクビライは、1264年樺太にモンゴル軍を派遣したのである。つまり「北からの蒙古襲来」は文永の役よ10年も早く始まっていたのだ。そして文永弘安の役と異なるのは、こちらはアイヌの侵攻への対抗措置としてモンゴル側が軍を派遣したところにある。p.83

 アイヌだけではない北方民族。ギリヤークとアイヌの関係については、渡辺京二『黒船前夜』と、チェーホフの『サハリン島』が詳しいと思います。

 この観点から見ると、北海道は本州より大陸に近い。逆さ北海道地図の感覚。

2020年の旭川の地図。パルプ、新旭川駅、自衛隊が一つの線上。p.99

 なぜあの配列なのか、わかりました。地元にいてもわからないことだらけです。

吉田初三郎北海道鳥瞰図。志比内。p.101

 パノラマ芸術。志比内も要地でした。

室蘭。日英同盟を背景に、イギリスの兵器会社アームストロング社、ヴィッカース社との共同出資で、1907年に株式会社日本製鋼所を設立。日本初の民間兵器工場が誕生。p.112

 室蘭という北海道で最もユニークな街。

キトウシ〈鬼斗牛〉p.121

 近所の地名なんですが、アイヌ語で〈ウシ〉は〈多い〉なんですね。近所の〈牛朱別川〉も由来もそうなのかな?アイヌ語地名は、あらためてすごい財産ですね。

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