見出し画像

サブカル大蔵経149太田龍『地球の支配者は爬虫類人的異星人である』(成甲書房)

 アイヌ問題の論客だった太田龍の行き着く先が〈爬虫類的異星人〉でした。出版物としては、いわゆるトンデモ本のカテゴリーに入るわけですが、異星人の比喩を使った自己の相対化が描かれます。

 わかったつもりのわれわれを撃つその気概を受け取りたいです。樺太生まれの英雄・太田龍の筋金入りのルサンチマン、発進。

画像1

西洋が日本を支配し、日本を殺して、喰ってしまったのである。その西洋とは何ものか。それは実は、異星人であった。異星人は西洋を殺して喰った。つまり西洋の正体は異星人による地球乗っ取りであり、異星人に寄生された姿である。こう説明すると日本人の長年にわたる西洋に対する違和感と莫大な量の疑問が一変に氷解するのではないか。p.24・26

 「西洋に喰われた日本」という比喩は的確。同じ人間なのにどうしてこんなに違うのか。なぜなら、相手が人間でないから、という結論は危ういものです。白人が、歴史において先住民族や黄色人や黒人に対する思考そのものだからです。だからこそ征服されつつある人間側の代表としての著者の西洋の根っこを辿る妄想は、妙な公平感を感じてしまいます。異星人は何を表しているのでしょうか。下に見ているのか、畏れなのか。

人間が神と離れた、それが人間の罪。宗教religionは再び結びつけるという意味。神と人の再合一に必要。p.31

 西洋の生み出した〈神〉に基づいた〈宗教〉という観念の考察。神とは人間の一部か。人間は神の一部か。別れたから、神が生まれたのでしょうか。

西洋が全くわかっていない福沢諭吉、今の我々。p.38

 たしかにわかったつもりで、まったくわかってない。先人の権威に依らない。西洋に限らないことだですが。西洋と付き合い始めて数百年、わかっているつもり、こそが危ういのだ、という問いを著者は突きつけてきます。

原罪がわからない。だから西洋の闇がわからない。造られた人間は破壊され抹消されなければならない。正気の沙汰か。西洋は破滅に向かうp.75

 キリスト教、破滅信仰のアナーキーさ。西洋の根源的な闇。美術館や書籍で見る西洋絵画の残酷な内容が、ついていけないなぁと思うことがあります。原罪に縛られた人々という基底。

福来友吉の継承者、山本健造先生。前人未到の六次元弁証法哲学。p.88

 千里眼から六次元。すごい系譜です。

飛騨の長老。日本建国秘史。日本原郷は乗鞍岳麓、飛騨は日抱き。p.91

 飛騨になにかがある。「奥飛騨慕情」が売れた時そう思いました。西洋だけでなくいまだに日本の各地域のことをよくわかっていません。

出雲の砂鉄を求めて邪悪な文明侵入、オロチョン族、大蛇。八岐大蛇。p.102

 手塚治虫の火の鳥でも描かれた侵入される出雲、という物語。

出雲が大和朝廷に恨みを抱き復讐。p.107

 実な日本の根幹かもしれない物語

ヒラリー・クリントンは爬虫類的異星人の血統エリート、異星人と地球人の混血。ビル・クリントンはその影響下。オーバーシャドウ。ダイアナ妃は、ウインザー家の人々はトカゲlizards爬虫類人 reptilesだと言っていた。彼らは人間ではない、と。p.141

 ヒラリーもダイアナもたしかに爬虫類顔ですが…。

 聖書でっち上げ。疑問は火あぶり。p.190

 聖書とは、権威であり、利用された試験紙なのでしょうか。

西洋は子音優位で母音の影が薄い。父韻は全く存在しない。つまり西洋人の心理意識は父なし子。父なし子ということは、天にまします我らが父よ、となるように、父は天上界にあって血統が切れている。父は実は異星人である。そしてこの異星人は、地球人に対しては、神及び悪魔として出現するp.266

 西洋の父が異星人。かぐや姫も異星人。

 西洋も東洋もそれぞれは広くて複雑ですが、西洋・東洋をわけない方がいいのかなとあらためて思います。西洋と東洋の交流を考えていきたいです。

この記事が参加している募集

本を買って読みます。