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サブカル大蔵経877川辺謙一『東京道路奇景』(草思社)

住んだことはありませんが、東京に遊びに毎年訪れています。なぜなのかが本書で少しわかりました。さあ次はどこ行こう。

東京が世界的に珍しい未完成都市であるならば、そのことは東京が持つ希少価値であり、人々を惹きつける要因にもなるだろう。①多様なものを受け入れる懐の深さ②変わり続けて飽きない街並み③混沌の中に秩序があることp.310

昔のガイドブックには記されていない東京の異様さと魅力が、気鋭の研究者により、ようやくその秘密が可視化されました。

もちろん初めて見るとその異様さに気づくのだが、なぜか東京では、何度も見るうちに気にならなくなり、それがあるのが当たり前であるかのように感じてしまう。その不思議さが、「東京道路奇景」の面白さであり、奥深さではないだろうか。p.71

当たり前の東京の不思議さを観光してくれる本書に感謝。

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ツアーの行程はシンプルだ。羽田空港から東京都庁がある新宿副都心まで、バスに乗るだけだ。p.24

 地下、地上、立体の環状通。70分東京道路奇景ツアー。今度羽田から試そう。

山手トンネルは、日本最長の道路トンネルで、/世界で2番目に長いトンネルでもある。p.35.36

 都会に最長のトンネルができた理由は、公害をおそれた地域住民の反対。それで、これだけ巨大なものを作る方針がすごい。

この建造物の屋上は、公園になっている。目黒区が管理する目黒天空公園だ。p.45

 大橋JCTの螺旋状連結路。巨大人工物の屋根の上の水田。上も下も道路まみれ。

小西六写真工業(現コニカミノルタ)の写真フイルム工場があった。p.69

 新宿西口副都心の未来立体都市の広さ。まさに地に足がつかない場所。その奥に鎮座する都庁。そりゃ、遊離するわ。

海外4都市から見れば、東京はその街並みそのものが「奇景」なのだ。p.147

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 ニューヨーク、パリ、ベルリン、ロンドンとの比較。昔、歩いて、どこも面白かったのですが、東京はランドマークや中心がなく、実は地味で、ぬえのようなイメージ。しかし、だからこそ尽きることない。

東京では、鉄道が発達した結果、鉄道が都市における事実上の骨格になった。東京のおもな街の位置を他人に伝えるとき、JR山手線を示す円とJR中央・総武線を示す横棒を描くと伝わりやすいのは、その円と横棒が都市の骨格になっているからだ。p.158

この節の見出しは〈鉄道がつくった東京〉でした。道路より先に鉄道で出来た街。今でも次々と新線が開通するのが衝撃的。

T-CATが計画された約半世紀前は、成田空港や羽田空港がこのような状況になるとは、おそらく誰も想像していなかっただろう。p.245

T-CAT、懐かしい響き。成田のLCCを使用するため東京から千円でバスに乗った時、あらためて思いました。

この「クール宅急便」の誕生が、日本や東京の「食」を大きく変えたようだ。p.285

ヤマト運輸・羽田クロノゲート。さらに現在の宅配増加を一手に引き受けているはず、そして成り立つ秘密。お疲れ様です!


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