サブカル大蔵経347スズキナオ/パリッコ『椅子さえあればどこでも酒場　チェアリング入門』(Pヴァイン)

〈座ること〉には、仏教と縁を感じます。チェアリングこそ、仏滅2500年後に現れた本来の仏教へのお導きかもしれません。〈酒の穴〉のお二人は、手塚治虫『ブッダ』のサーリプッタとモッガラーナのコンビのように私たちを目覚めさせてくれる。

【ナオ】椅子を置いて最初に座るとき、毎度びっくりしますよね。あれ？こんなに立って見ている景色と違うんだっけ！？みたいな。
【パリ】お尻が椅子に着く寸前と、座り切った瞬間の落差がすごい。椅子マジック。【ナオ】一瞬で顔つきが変わりますよ。視線も遠くなるし。

ローチェア買おうかな。

【人間椅子・和嶋】いや、最初にお話をいただいたときには、『ホームレスの人とどこが違うんだろう？』って思ったんだけど（笑）／あらためて椅子はいいなと。どこが文化的だよね。人間であることを思い出させてくれるというか（笑）p.34.37

　豪華なゲスト。

【谷口菜津子】チェアリングってどこか余裕を感じる遊びですよね。「無理矢理余裕を作っている」とも言えるかもしれない。そこに良さがある気がしました。p.45

　茶道のわびさびのような？チェア道？

【ナオ】何でもないと思っていた場所が、椅子を置くことで、途端に特別な場所になるっていうか。p.48

　座の思想。上座下座平座とも違う解放。

【ナオ】海苔巻き、柱みたいな形してるもん。／醤油なしシュウマイ。こんなに食べやすいものはなかなかない気がします。／右ポケットにレーズン、左ポケットにさけるチーズ。これでワイン飲んだら一人ワインバーの完成だ。p.62.63.65

　この〈チェアリング特化おつまみ実験〉の畳み掛けは、次元が違う世界にスリップさせてくれる筆致で、少しトリップ感あります。やはりお二人音楽の方だからかな？

【ナオ】お風呂グッズコーナーのプラスチック製の椅子を買うことにした。100円で座れるものというと、これしかなかったのだ。p.115

　このあえて失敗感を失敗で切り取らない編集姿勢が酒の穴のキモのような気がします。それも楽しむというか。それこそ楽しんじゃうというか。