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サブカル大蔵経1009横道誠『みんな水の中』(医学書院)

人はどんな風に世界が見えていて、どんなふうに著述してくれるのか。それを覗くように読みました。

今思うのは、それが陳腐な選民意識ということだ。生きづらさを感じることが、むしろ選ばれているのは自分たちの側だと言う傲慢さにつながることがある。/脳の多様性が選民思想であってはいけない。p.81


〈多様性〉や〈仲間〉という言葉の奥の特権意識。差別問題の研修会などで私が感じる〈特権意識〉のことについて何箇所かで言及してくれています。

イチローや北島マヤを同胞として思うことなども、興味深く。

私に深刻な心の傷を残したのは、暴力よりも抱きしめられることだった。p.141

この部分、吉村萬壱『哲学の蠅』でも記されていました。共通点。

いままでに扱った作品でもっとも反響が大きかったのは、村田沙耶香の『コンビニ人間』だ。未読の発達障害者はぜひ一度、読んでみていただきたい。p.204

自助グループの語り合いの中で。広い揺蕩う世界の中で、何か繋がっていくような。

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