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サブカル大蔵経654溝口 敦/鈴木 智彦『教養としてのヤクザ』(小学館新書)

ヤクザは憧れるような存在ではない。でも、ヤクザだけが人間扱いされないのはおかしくないか。悪玉はまだいるだろう。

私にとってスターのようなお二人がついにタッグを組んで。命がけの深刻な話を軽妙な漫才のように。

評判良かったのでしょう。先日、第二弾『職業としてのヤクザ』が出ました。

目の前にあるのに見えていない世界。そこに導いてくれる本書。

ヤクザと似ているのはやはり僧侶ですね。

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ヤクザの新たなシノギ「タピオカ」
原価1割、開店200万、売上月80 万p.18

 2年前に東京行った時、どんな商店街にも居抜きでタピオカ屋がありました。

日ハム大社・浅田は40年来の仲p.22 

 溝口『食肉の帝王』も読みましたが、まさか日ハムオーナーとも入魂とは。

ヤクザは商売ではない。無職。p.32

 現代経済の枠の外。僧侶に近いのかも。

農協というヤクザがいるから食い込めない。p.41

 農家出身のヤクザが少ない理由。それで漁業などへシノギを求める。鈴木『サカナとヤクザ』は道民にとって衝撃的でした。

ヤクザは個人事業主。団は互助会。p.56

 寺院の互助地域グループを「組(そ)」といいます。似てるな…。

盛り場のトップは暴力団。p.93

 明日死ぬかもしれないから金払い良い。スナックではヤクザと僧侶の見分けがつかないと聞いたことがあります。

議員は土着の仕事。表は政治家、裏は暴力団。政治家と暴力団は表裏一体。p.104

 池上遼一『サンクチュアリ』。地域こそ最大のシノギなんですね。議員、町内会、お祭り、土地、住職。地域有力者。

大学でヤクザに取込まれるのは医学部教授や医師。心付け渡し方上手。p.120

 一度受け取ると取り込まれる。

ヤクザからしたら武器としての人権、武器としての法律。p.135

 暴対法以降、弱い立場となったヤクザ。坂口恭平の本で浅草のホームレスが一番法律に詳しいと書いていたことを想起しました。武器としての法律。「ヤクザと憲法」という印象深いワード。憲法記念日の研修会で取り上げなところなかったのかな?

今のヤクザは勉強会やセミナー好き。六代目山口組、共謀罪勉強会p.145

 この辺りも僧侶と似てますね…^_^研修会ばかりしてますね。

マスコミは警察に牛耳られている。昔は警察から教わることはなかった。今は取材先は警察。垂れ流し。p.163

 情報をどこが独占しているか。

お金もらうのが一番怖い。もらったらもう書けなくなる。/給料一カ月分の金をポンポン渡されたら、まともに仕事する気がなくなっておかしくなる。そうなるとヤクザもその記者をヤクザ扱いする。p.175.176

 お金をもらわない。結果的に生き残る。

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