見出し画像

サブカル大蔵経238石原豪人『謎とき・坊っちゃん』(飛鳥新社)

わたしは、ホモではない。ただ、どういうわけか、昔から、私のまわりにホモが多く集まってきて、そのため、自然とホモの習性に詳しくなってしまったのだ。p.22

「豪人君。私がやりかけて途絶えた道を、ぜひ研究してみてくれ。応援するよ」そう乱歩さんが、空から、私にささやきかけてくれてる気がする。p.224

江戸川乱歩、赤田祐一、竹熊健太郎、本橋信宏、そうそうたるメンバーが関わる中で、伝説の挿絵画家・石原豪人の遺作が発刊された。

〈『坊っちゃん』は登場人物全員ホモ〉という裏設定で、この小説の疑問点がすべてが解き明かされてゆく。

・赤シャツに一目惚れ。
・マドンナとのでっち上げ恋愛
・女に関心のない漱石
・男色茶屋「かげま」に詳しい坊っちゃん
・キーマン野だいこ

異様な主張を裏付ける説得力あふれる鋭い考察がキャッチーな見出しと共に綴られてゆく。そのうちこの『坊っちゃん』という小説や漱石や作家そのものの異常さに気づいてゆく。

漱石も鷗外も、日本の歴史も文学も、男色という文化と風俗のもとにあることが再認識させられてゆく。

画像1


画像4


漱石山房に集う青年たちは、逸材ばかりだった。p.32
漱石は、言わば、ジャニー喜多川氏である。p.33
漱石山房は、ジャニーズ事務所化していったのである。p.34

 私は納得しました。

清は老けたホモだったのである!p.48
長兄が男色に走ったp.58
ようやく陽の目を見た、漱石のホモ・シグナルであった。p.65

 坊っちゃんの家族たちの秘密

校長以外全員独身p.76
坊っちゃんは、東京にいるときとは人が変わり、温泉で男を漁り出した。p.89
坊っちゃんは、やっぱり、根っからのフケ専だった。p.111

 舞台の異様さと地方の真実。

明治維新の西郷隆盛が、ハード・ホモであったのは、言うまでもなかろう。p.115

 西郷隆盛像と上野とホモも結びつく。

大英帝国留学経験もあることで、シャーロック・ホームズは、熟読したであろう。「坊っちゃん」には、推理小説的な醍醐味が塗り込めてある。p.154

 日本初の推理作家・漱石。

ピーコの辛口ファッション・チェックのような細かい指摘で、坊っちゃんは、赤シャツのことを気にかけている。p.166

 著者の説得力。

〈これが男たちを虜にする野だいこの5大ホモ魅惑だ!〉p.180

 著者のサービス精神

そもそも、坊っちゃんが、たった1ヶ月で東京に舞い戻ってしまったのも、松山でのホモ騒動のせいというよりも、好きで好きでたまらない清の肉体が忘れられず、いてもたってもいられず、帰京したというのが、真相であろう。p.216

 実はまだ『坊っちゃん』読んだことないので、読むの楽しみになってきました。そして、漱石の他の作品も読んでみたいと思いました。

カバーをとると、これはもうお宝ですね。

画像2

画像3



この記事が参加している募集

本を買って読みます。