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サブカル大蔵経489松田賢弥『影の権力者 内閣官房長官菅義偉』(講談社+α文庫)

菅義偉が出会ってきた、梶山静六や野中広務ら叩き上げの政治家語録、若干感傷的な自民党権力闘争史として最初読みました。

本当に菅さんが総理になった現在、再読すると、あらためて興味深い内容でした。

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「党内で向かってくる敵がいないんだよな」菅は自民党に権力闘争がなく、凪のような状態であることに満足していないように思える。p.18

 政治は権力闘争で、それが自民党だと。総理になった今は誰も自分に立ち向かってこない。だからこそ弱体化している皮肉。

満洲雄勝郷開拓団の悲劇、命からがら秋田の地へ帰ってきた人々は、俺だけ満洲から無事に帰ってきて…と罪悪感に苛まれた。p.46 

 菅一族の葛藤。私も昔、雄勝地方を歩いたことがあります。東北、秋田の中でもエアポケットのような印象がありました。銀山駅とか素敵な雰囲気でしたが。

寡黙な菅義偉、苦労の上に努力、中卒のハンデ。集団就職。奥羽本線の列車の中でミカン買ってくれるとか、何かと気がつくし面倒見がいいんだ。p.91

 菅の友人評。奥羽本線車中のミカン。

グッと手を握り締めて「俺が安倍さんを総理にしたんだ」p.93

 中華料理店での同窓会の席。こまめに顔出す会食好き。

上京して高校時代のバイト、大卒後の就職、詳しくは思い出したくもない。p.98

 ネタにもできないほど何かあったのか。

小沢一郎と菅義偉、岩手と秋田。p.108

 この二人を並べたことなかった。岩手対秋田だったのか…。

横浜市議時代の朝食会、影の市長。p.150

 この頃から朝食会してる!

野中は、他人からは理解されない矛盾を抱え込むようにして膝を崩さない。派閥にあっても、群れようとしないで、一人屹立している。p.160

 側近のいない菅、野中イズムか。

第二の野中を目指す菅、その野中と相まみえる。最後は自分で決める。党に守ってもらうことはもう考えなくなった。p.183

 自民党すら薄れ、飛び越えそうな菅。優先順位が他の政治家と違う気がします。それが強みであり、弱味か。

梶山「森はいままで一回も責任を取ったことがない。天下一品だ」p.195

 オリンピックでお鉢が回ってきました。

野中「岩手(小沢)も山形(加藤)も、何の苦労もせずに親の財産でぬくぬくと育ったやつには…」p.203

 東北の世襲に厳しい野中さん。京都的?

携帯を操作して「まあ、この程度の支持率なら大丈夫でしょう」p.247

 この頃から、支持率のみ気にしてます。

梶山は、小渕が梶山を冷遇するなか、菅を然るべきポストにつけるようひそかに頭を下げて回った。菅は政治家の心配りを梶山から学んだ。p.269

 菅グループを大臣や官邸に抜擢したが…

「総裁選で動き回るのは得意中の得意ですから(笑)」p.299

 やはり、政局こそ本領を発揮する人。総理を降りてからも元気ありそうです。

経産相審議官で、梶山の秘書官だった今井康夫曰く、官僚は百点満点を目指す。政治家は50点でなければならない。百点の人は零点の人を切り捨ててしまう。零点に人は百点の人の権威を認めない。50点の人間だったら、百点の人の能力を使いながら零点の人の痛みもわかるわけだ。p.306

 梶山イズム、伝わっているか。

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