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サブカル大蔵経546ジォアシャン・ブーヴェ/後藤末雄訳『康熙帝伝』(平凡社東洋文庫)

西洋から見た東洋に関する本を読んでいって出会った本書。

キリスト教宣教側から見た中国。

ルイ14世に例えられた康熙帝の姿。

アダムスと家康のような関係か。

後藤末雄さんが発掘した貴重な本。

まえがきから、滾る文章です。

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近頃、ある思想をその発生環境から切り離して解釈する結果、その思想が飛んでもない方向に移動する実例は、あまりにも目を刺激する。p.5

 今読んでいる『古代哲学史』で、田中美知太郎も同じことを危惧していました。わたしが習った先生もよくこのことを話していました。これを抑えた上で初めて現代との比較や考察ができるということが守られていないということでしょうか。

このフェルビースト師は既に自国語の一部を忘れておりました。p.22

 本書や類書で、フェルビーストという名前と生涯がが一番心に貼り付きました。

康熙帝が質素を愛されることは衣服調度の中にも認められます。p.57

 愛用の貂の毛皮もありふれた物らしい。

漢語と比較すると、韃靼語の方が遥かに容易でありますから、宣教師は僅かな間に韃靼訳によって漢籍を利用することができます。p.72

 韃靼語。どう容易なのか?ちなみに今日の昼は蕎麦屋で韃靼蕎麦を食べました。

計算を復習され、器械の使い方をも稽古されて、またユークリッドの最も重要な命題をしばしば復習され、その証明をよく記憶しようと努められました。p.85

 ユークリッドを勉強する皇帝!

康煕帝が陛下に似通うためには、この皇帝が幸いにもキリスト教を信仰することが必要でありましょう。p.146

 話す陛下とは、ルイ14世。著者は帰国した。

神はシナから異教を一掃するために今後、学問を利用すべきことを、今日でも、ますます明白に希望していられるように存じます。p.153

 イエズス会でも、この派と、あくまでも王道の宣教をする派とで分かれたみたい。

中国人とは全く生活環境の異なるヨーロッパ人にとってはそのいちいちが面白く感ぜられるので詳しい記録が残され、時間の経過によって中国人の風俗・習慣が変わったのちはヨーロッパ人の伝えが唯一の貴重な史料となるということも当然考えられる。(解説・矢沢俊彦)p.206

 日本の戦国時代のことが、フロイスや日葡辞書によって表されるのと一緒か。

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