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サブカル大蔵経403鵜飼秀徳『無葬社会』(日経BP)

『寺院消滅』の続編に当たる今作も幅広い取材対象。そのご苦労に敬意を表します。田舎も都会も、それぞれ大変。

 本書の内容が当たり前になるのか、一時的なことになるのか。

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一般の方から、直接斎場に電話がかかってきましてね。p.13

 お寺どころか、葬儀社でもなく、火葬場に直接、直葬を依頼する人が現れた!

「おじいちゃん、カブトムシが死んだら人間と同じようにお葬式してあげて」と孫が言う。さすがに、カブトムシは骨にすることはできませんが…。p.24.25

 ペット葬こそ本来の葬儀に近くなってきたのかもしれない。

多くの業者さんがお宝探しの一環でやっています。/そうですね。実際、リサイクル業者さんが遺品整理を手掛けるのがほとんどです。p.67

 たしかに、地元のリサイクルショップの看板にも遺品整理の文字が載るようになった。

裁判長。①旧来の檀家制度の枠組みを外れ、どんな宗教宗派でも納骨を受け入れてる点。②ビルの本堂や供養所を他宗の僧侶に有料で貸している点。③民間業者が営業広報などに関わっている点。④数千基単位の大量の遺骨を集めて収益を得ている点。興味深いのは、現在のところ、自治体や国、あるいは裁判所が「檀家制度の枠組み」を守ることこそが「宗教行為」とみなしている点である。言い換えれば、地域に根ざす寺檀関係の中での「顔の見える供養」こそが宗教行為と考えているのだ。逆に寺檀関係を結ばない「無宗派の個別供養」を課税当局は、宗教行為とは見てないのである。p.104

 合同納骨所が宗教施設として免税されるかされないかの裁判。宗教行為とは、特定の信者向けにのみ適用、幅広い対象だと事業収益とみなされ税免除除外。

散骨島。カズラ島。p.116

 隠岐の島、昔行きました。散骨島か…。いいと思いますけどね。知り合いが母親の散骨をしたら、どこにいても見られている感じがして嫌だと、後悔していました。

原発反対運動の時、言われた。「住職はお経を読んでいればいいんだ」と。p.133

 私の父も、反原発運動でハンガーストライキをしていたら、「非国民!」と石を投げられました。

【佐々木閑】本来の出家は、必ず集団行動なのです。p.223/一瞬でもサンガは形成されなかった?されていません。p.233/サングラスやグッチのバッグも、布施でもらったとするならば全く問題ありません。律に背いていませんから。p.240

 あらためて僧侶とは、サンガとは、布施に生かされているということはどういうことかを佐々木閑さんとの対談で考えさせられました。日本には完全なる布施のみのサンガはなかったのだと。

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