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サブカル大蔵経835土田美登世『やきとりと日本人』(光文社新書)

学生時代、仲間と夜に集まる時は、近所の焼き鳥屋でした。

背伸びして初めて入った呑み屋も、地元でよく行っていた店も焼き鳥屋でした。

焼鳥屋さんは宝のような存在。

居酒屋とも違う、専門店の矜恃。

限られた材料の中での独自のメニュー。

夜中そんなことを思いながら読み進めると口の中が乾いてきました。焼酎飲もう。

しかし本書は労作だけど、思っていた内容とは違いました。その違和感は、私が思い描く焼鳥の歴史そのものかもしれません。

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キジは天皇に出すにふさわしいと吉田兼好。p.24

 ニワトリよりもまずキジの登場。

江戸料理集には、鶏を出すときには、嫌う人がいる場合に備えて替え料理を用意した方がいいという記述まである。p.31

 特殊な料理・鶏肉。

ジビエ野鳥。キジ、鴨、鶴。鶏は卵。p.32

 鶴!鶏は食用ではなく卵のため。

江戸時代の随一の花街は柳橋、現在の浅草橋あたり。柳橋は旧幕府びいき。薩長を嫌った。故に薩長が探した花街が新橋だった。p.43

 新興の新橋芸者の始まり。その新橋がもつ焼きのメッカになる。

やきとりは滋養品。臓物を蒲焼きにした。鶏肉屋の肉は高級で花街へ鶏鍋。臓物は大衆の町の焼き鳥。p.46

 もつ焼きこそ焼き鳥。それが始まり。だから東京では高級焼鳥店という差別化された店もできるのか…。

新橋烏森神社参道焼き鳥屋王将。p.77

 新橋の歴史ともつ焼きの歴史。

美唄、三船福太郎が開業。卵を産まなくなった鶏を使い、もつ串を作った。福よしは三船福太郎の御子息。たつみは、三船で修行してた。p.170

 福よし、たつみ、三船。北海道・美唄焼き鳥の誇る三兄弟店。もう日本史の勢い。

むね肉はねぎまになる。売れない。アメリカはもも肉よりむね肉。p.211

 旭川は新子焼きという鳥の半身をそのまま焼いて提供するメニューがあり、胸肉ももも肉もいっしょにいただけます。かなり大きくて、焼き鳥の範疇かは謎ですが。

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