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サブカル大蔵経1003武論尊原作・平松伸二漫画『新装版ドーベルマン刑事』全29巻(ゴマブックス)

なぜ『ドーベルマン刑事』が現代こそ読まれるべきと思えるのか。
法律訴訟、弁護士、コンプライアンス全盛の現代への警鐘か。いや、劇中でもそれは執拗に描かれている。
加納は本当に護られるべきものを命がけで返り血を浴びながら明らかにしていく。

今年に入ってから、江口寿史さんのツイートで、Kindle Unlimitedにアップされていることに気づき、初めて読み始めました。
『そしてボクは外道マンになる』を読んでいたので、
なんとなく「ネタ」としてドーベルマン刑事のページを開きました。

その予想は大きく裏切られました。

加納や三森や西谷や沙樹やゲタバキ、みなそれぞれ印象深いのですが、

やはり11巻の沖縄編が圧巻でした。

「だとしたらおれは…なにかな…」

他にも
「刑事なんか大っきらいだ〜!」(15巻)

「時効になったからといって私の罪は消えません」(16巻)

「どうしてあなたがジーパンとゲタで仕事に出かけるのよ…」(17巻)

名作・名言揃いでした。

警察犬エルフが最後の力を振り絞る姿と、その後の展開。
もっと活躍見たかった。

成田(劇中では千田空港)闘争が舞台として登場することが多く、時代史料としても貴重だと思いました。

原発・プルトニウムから原爆を作る回。
「少年ジャンプ」の凄さを感じました。
爆弾犯も多かったですね。

自衛隊、機動隊、公安、マスコミ、米軍、外国の警察…。
味方こそが敵となる展開も多かったです。
そして最多登場かつ最強の敵は「過激派」だったのでしょうか…。

梅毒に犯された赤ちゃんが「パクパク」「ウ…」とうめくコマ。
あの描写の厳しさと美しさと力強さ、一生忘れられません。

この作品に出会えてうれしかったです。



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