バーティカル SaaS のエンジニア組織の今年1年の取り組みを振り返る
こんにちは、hacomono で CTO を務めている工藤です。
hacomono はフィットネスジム・スクール向けの会員管理・予約・決済システムというバーティカル SaaS (業界特化型 SaaS) を開発しています。現在はシリーズAラウンドで、次のラウンドに向けてチーム一丸となって事業を成長させている真っ最中です。
そんなフェーズのバーティカル SaaS のエンジニア組織が今年どんなことを意識して取り組みを行ってきたか、私の視点から振り返りたいと思います。
数名の小さなチームから、10名以上のチームにスケールさせていく
2021年1月時点の開発メンバーは、私も入れて5名ほど。当時はまだまだ私もプロダクトにコミットしていて、私が Issue の半分を抱えている、予約・決済といったコアドメインを触る場合はほぼ私が担当となっている、といった状況でした。
このままでは今後組織・事業をスケールさせていく中で明らかに私自身がボトルネックとなることが明白です。私の役割はプロダクトの価値を最速で最大化させること。そんな考えから、2021年は「チームを作り、自分がメイン開発を離れること」を大きなテーマとしていました。
そんな少人数だった開発チームですが、資金調達を受けて採用を強化していったこともあり、今では社員13名、QA・業務委託・アルバイトの方まで含めると27名が関わる組織にまで成長しました。そしてメンバーの皆がプロダクトを停滞させることなくしっかりと開発にコミットしてくれたおかげで、以下のグラフの通り、私が担当する Issue の件数は下記の通り大幅に減っていました。実際、この数ヶ月は細かいボール拾いに終始していたので、メインの開発は皆にお渡しできている体制が作れてきたと感じています。
次の課題として出てきたのは、人数が増えたことによるチームの体制・コミュニケーション面です。人数が少ないうちは意思疎通もしやすく情報共有もスムーズでしたが、10名を超えてくるとデイリースクラムなどのイベントでの情報共有が難しくなり、各メンバーがどんな状況なのかわからない、アラートを挙げたつもりがキャッチアップされない、といった状況に陥り始めました。
そこで来年からはチーム制に移行していき、チーム単位でのイベントと開発全体のイベントを整理していきます。そして今後の組織のスケールに合わせたマイクロサービスの推進も同時に進行していきます。
また、直近では hacomono Developers Summit と称して全員がオフラインで集まって勉強会・懇親会を実施したりもしました。弊社は通常フルリモートで、メンバーの中には大阪、香川在住の方もいらっしゃるのですが、こういったオフラインで会ってコミュニケーションできる機会も意識的に作っていく必要性も感じています。
とにかく採用!!!
これから我々がやるべきこと、成し遂げたいことを思考する中で、本当に沢山の仲間が必要、ということを実感する1年でした。ビジョン → 事業 → 組織・体制 → 開発プロセス・アーキテクチャの整合性を日々思考する中で、私がメインでやるべきことは、引き続き採用にコミットしていくことだと改めて感じています。
採用で特に意識していたことは、認知拡大のために情報を可能な限りオープンにする + 整理すること。具体的には以下のようなこと意識してを取り組んでいました。
採用ウィッシュリストを作り、今後の展望や現状の課題感をまとめてお伝えする
一度でも興味を持っていただいた方には毎月 Newsletter をお送りして近況を共有する
Meety などを活用し、まずはカジュアルにお話するところから始める
カジュアル面談では、先方の知りたい内容の擦り合せを事前にしっかり確認してお話をする
オファー面談では、選考を通して評価させていただいた点、ジョイン後の期待値を、認識のズレが無いようにオファーレターを作成してしっかりとお伝えする
また、各チームが採用にコミットするという考えの元、開発メンバーにも協力いただきリファラル採用も強化しています。メモリーパレスを活用した採用候補の掘り起こしから、定期的なアクションの実施を行っています。
エンジニア採用のリードタイムは半年〜1年と考えると、事業計画から逆算して早めに動くこと、長いスパンで思考することが重要かと思います。スカウト運用やエージェント活用、転職ドラフトなど各社が当たり前に行っている運用ももちろん疎かにせず、コツコツと真摯に取り組んでいきます。
“深い” プロダクトを作るための業界解像度を上げる取り組み
バーティカル SaaS を開発する上で業界に対する理解・解像度は開発組織においても重要です。解像度の低い開発チームがアウトプットするプロダクトは、業界の方からすれば「わかってない」「浅い」プロダクトという評価となってしまいます。結果、Fit&Gap では○が付いているけど実際現場では使われていない機能ばかりを抱えるプロダクトとなってしまう、いわゆるビルドトラップに嵌る危険性があります。
私たちは現在1つのプロダクトを特定の市場に向けて投入しており、その品質は生命線です。「hacomono はやっぱり使えない」という評価・口コミが少しでも出れば事業として致命的、そのような危機感を持って開発を進めています。
おかげさまで hacomono では各チームが積み上げてくれた業界との関わり・信頼によって、開発チームからお客様に直接ヒアリング・相談に行ける関係性が作れています。また、Biz サイドのメンバーは高い解像度で持って日々お客様と対話しており、詳細なご要望を開発チームにフィードバックしてくれています。
そのような土壌を作ってくれたチームの皆に感謝しつつ、開発チームも自ら業界の理解を深めるためのアクションを日々起こしてきました。
開発メンバーが自ら新機能についてお客様に相談・ヒアリングを実施
カスタマーサクセスチームのオンボーディングに参加して現場の生の声を聞く
フィットネス補助費を利用して実際にフィットネスジムに通ってみる
毎朝社内で実施されている朝トレを通してオンラインフィットネスを実際に体験する
社内イベント「Run for」を通じて運動習慣について向き合う
業界の展示会「SPORTEC」に参加、現場の熱量を肌で感じたり、業界の製品情報・競合製品を理解する
目の前にいるお客様の声を聞いて改善意欲が湧いたり、社内イベントを通じてもっと盛り上げるためのアイディアを出してみたり、展示会で改めて hacomono にいただいている期待を生で感じたり。目の前の課題を目の当たりにすることで、解像度だけでなくエンジニアにとってのモチベーションにも繋がるのではないかと思います。
まだまだ足りないと感じることばかりですが、引き続きお客様の声に真摯に耳を傾け、業界を驚かせるようなプロダクト作りに挑戦していきます。
事業を守る “セキュリティ” への投資
スタートアップとなるとプロダクト開発の攻めの部分に意識が向きがちですが、事業を守るための取り組みも重要です。hacomono はお客様の大切な個人情報を扱うシステムのため、セキュリティに関する意識の向上、取り組みも不可欠です。スタートアップではこの辺りを CTO が担うケースが多いかと思います。
振り返ると、今年はこんな取り組みをしていました。
ISMS、Pマークの運用実施
社内への周知、セキュリティに関する意識の向上
開発 + カスタマーサポートチームで障害訓練の実施 (今年入ってくれた SRE メンバーに推進していただきました。感謝!)
脆弱性診断の定期実施、指摘事項の早期改修
社内の情報セキュリティの強化
12月に待望の一人目情シスメンバーがジョインしてくれたことにより、社内の情報セキュリティ強化はさらに加速できそうで、来年の取り組みを個人的にとても楽しみにしています!
最後に
1年を振り返ってみると、ここに書ききれないくらいに沢山の取り組みがありました。もちろん私個人で成し遂げたことではなく、メンバーが提言・推進してくれたことばかりです。
つらつらと書いてしまいましたが、同じようなフェーズのスタートアップの方に何か参考になれば幸いです。
最後に...本記事を読んで少しでも hacomono に興味を持った方はぜひ Twitter でも Meety でも採用サイトでもご連絡いただけると嬉しいです!まずはカジュアルにお話しましょう!
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