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巨大企業によるマッチポンプ。映画「ブラッド・ダイアモンド」を観て分かる今だに続いている問題。

今回はとある映画について書いてみようと思います。

2006年の映画で少し古いですが、この映画で描かれている問題は今も形を変えまだまだ残っているように思います。

「ブラッド・ダイヤモンド」

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みなさんはシエラレオネという国をご存じでしょうか?

もしかしたら名前は聞いたことはあるかもしれませんが、どこにあるかまでは知らないという方がほとんどかと思います。

アフリカ大陸の西側大西洋に面している国で、1961年にイギリスの植民地から独立しました。よって公用語は英語です。
※映画の中でも英語が話されているのはリアルなのでしょう。

このシエラレオネという国は間接的に私たちの生活にも関わっています。
多くの人が憧れている"永遠の輝き"ダイヤモンドです。

1999年シエラレオネではダイヤモンドの密輸をめぐって、政府軍と反政府武装勢力の革命統一戦線(RUF)が内戦をする状態が続いていました。

RUFは村を襲撃しては村人をさらっていき、ダイヤモンド採掘の奴隷としてまたは戦闘員として少年たちを雇用していきます。

主人公の漁師ソロモンも例外ではありませんでした。
自身は奴隷として、息子は戦闘員としてRUFに連れ去られていきます。
採掘されたダイヤモンドは密輸ルートを使って、ヨーロッパなどへ輸出されていました。

一方ヨーロッパでは、このRUFによる武装と密輸をもたらす"紛争ダイヤ"を止めるための重要な会議が行われ、ダイヤモンドを扱う巨大企業「バン・デ・カープ」がその紛争を止める一役を担うことになりました。

主人公が採掘現場に隠した貴重な"ピンクダイヤモンド"を巡って、主人公と金儲けをしようと目論む密輸ブローカー(レオナルド・ディカプリオ)と密輸の実態を追っていた女性ジャーナリストの3人が出会い、互いの目的を果たすために手を組みます。

最終的にそのピンクダイヤモンドは、密輸ルートを使って「バン・デ・カープ」の手に渡っていることをすっぱ抜いた女性記者によって、巨大企業がしかけていたマッチポンプだったことが世間の目にさらされることになります。

主人公が発した言葉はインパクトがありました。
"白人がダイヤモンドを欲しいのは分かる。でもなぜアフリカ人同士が争う?"

2000年には「キンバリー・プロセス認証制度」というダイヤモンドの原石を取引する際の原産地証明書を義務付けることになりました。
しかしこのキンバリー・プロセスで全て解決できたわけではなく、以下のような問題はまだ残っているようです。

・採掘後の加工プロセスで生じる紛争については紛争ダイヤモンドとされない
・原石単体ではなく集合体に対して証明がかけられるため、紛争ダイヤモンドを紛れ込ますことができる
・反政府軍に対する処置のため、政府側が紛争の種となる非人道的行為を行っても流通が認められる
・制度が破られても罰則はない

この映画を見終わって感じることはやはり、私たちは普段食べているものや身に付けているものがどのようにここまで運ばれてきているのかについて、あまりに無自覚で盲目的すぎるんじゃないかという気づきです。

問題の本質は消費者が過剰なマーケティングに踊らされて、本来必要ないものまで価値があるように思い込まされている気がしてなりません。

誰かが決めた美しさを手に入れるために、不毛な競争に巻き込まれなくても、あなたはあなたのままで美しいのに。そう思います。

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