シェイクスピアを音で読む(1)
『ハムレット』、『夏の夜の夢』、『間違いの喜劇』を音読した感想です。すべて松岡和子さんの翻訳で読んでいます。ちくま文庫です。
シェイクスピアを音読している経緯はこちら。
ハムレット
シェイクスピア全集1 ハムレット(シェイクスピア 著 , 松岡 和子 翻訳)
初めて読んだシェイクスピア作品です。
ハムレットは終始暗くて、怒ったり悲しんだり人を羨んだり自分を卑下したりと大変ですが、なんだかすごく人間味に溢れていて好感のもてる人物でした。他人のことを羨むけれど、妬みはしないところはすごい。純粋というか誠実というか。あと、ホレイショーとの会話はハムレットが彼に心からの敬意を抱いていて、かつ心を許しているということが伝わってきて好きです。
自分でも不思議で仕方がないのですが、ポローニアスが殺されたことに激怒して謀反を起こしたレアティーズのセリフで、突然言葉が詰まって涙が止まらなくなりました。
”落ち着いていられる血が一滴でもあれば俺は私生児だ。” (p.202)
そのあとのオフィーリアに向けたセリフもでした。
”可哀そうに、オフィーリア、もう水は沢山だろう。” (p.224)
第四幕第五場と第四幕第七場のレアティーズのセリフは、いまの私に刺さるらしい。まぁ単純に強い感情に引っ張られやすいだけかも。
夏の夜の夢
シェイクスピア全集4 夏の夜の夢・間違いの喜劇(シェイクスピア 著 , 松岡 和子 翻訳)
終始漂うコミカルな雰囲気が楽しかったです。
私は恋愛ものにはあまり没入できないみたいで、ハムレットの時のような感情の揺れ動きはなかったです。
4人の若者たち、ボトムたち職人、そして読者という階層構造がすごいなと思いました。
まず、ボトムたちの劇中劇。誰が見ても滑稽なものですが、本人たちはいたって真面目で、滑稽な様を演じているという自覚はない。
次に、4人の若者たち。彼らはボトムたちの劇を観て笑いますが、その直前まで自分たち自身が随分と滑稽な様でした。でも、自分たちの滑稽さを自覚していない。
そして、読者(演劇であれば観客)である私。私も彼らを観て笑いますが。。。きっと同じように、無自覚に滑稽な様を演じてしまっているんだろうなあ。うーん、パックのセリフが耳に痛い。
”人間てほんとに馬鹿ですね!” (p.85)
あと、ティターニアの子どものことが最後まで気になりました。オーベロン酷くない?まぁでも、全てが束の間の夢だったと思うしかないか。
間違いの喜劇
シェイクスピア全集4 夏の夜の夢・間違いの喜劇(シェイクスピア 著 , 松岡 和子 翻訳)
軽快で楽しかったです。
モノやお金があっちこっちに飛んでいって、読んでいる私も途中で混乱してしまうほど。話の展開はわかりやすいので「最後は円満解決だろう」という安心感があります。安心感があるから楽しめるのかなあとも思いました。
それにしてもドローミオ(どっちも)が不憫すぎて。。。途中で「もう殴らないであげて」ってなりました。本人たちの愉快な言い回しでだいぶこちらが救われたなあ。そういう役回りと分かってはいるけれどね。
セリフ1つ1つが短くて言葉遊びが豊富なので、演劇を観るのも楽しそうだなと思いました。他の方の翻訳を読むのも面白そうです。
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内容はもちろんのことですが、音読の威力に衝撃を受けました。部屋で1人でやっているので、そんなに声も張らずにボソボソと読んでいるのですが、それでもセリフに感情が引っ張られて行きます。
いまは『マクベス』を読んでいます。何作品か読み終えたら、まとめて感想を書こうと思います。
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