得意になったこと。
大人になるにつれて、走ることなど、主に運動関係で苦手になることはたくさんあるけど、逆に得意になるものもちゃんとあるから大人は楽しい。
得意とまでは言えないけれど、最近になってやっと苦手ではなくなったことは「誘うこと」だ。
ずっと前から誘うことが苦手だった。
「断られるかもしれない」
「上手に話しかけられないかもしれない」
「困らせてしまうかもしれない」
という、トリプルの「かもしれない」に頭を支配され、クラスのキラキラした子たちを教室の隅っこから羨ましそうに見つめることしかできなかった。
なんのきっかけもなく自分から話しかける勇気なんてなくて、話しかけられたくて、きっかけがほしくて、常に飴を持ち歩き、キラキラクラスメイトが咳込んだだときなどに素早く「飴、舐める?」と渡せるようにしていた。
「クスッ」としてもらいたくて、ケータイの着信音をあえて変なものにしていた。
(どう変かと言うと、おじさんが『ダン ダン チキダン ダン チキダン♩ ダン チキ ダン チキチキチキダン♩』ってずっと歌っている・・・)
話しかけられるための仕掛けをいくつも張り巡らせ、じっと待っていた。
ある意味能動的な受け身人間だった。
ずっとそうだった。
でも、最近は自分からいけるようになってきた。
「この人と仲良くなってみたい」と思ったら自分から話しかけられるようになった。
「この人が来てくれたら嬉しいな」と思ったら、間髪入れずに誘えるようになった。
それは多分、誘うのが怖くなくなったという訳ではなくて、人はあまり親しくない人に対して、「嫌い」という感情は抱いていないし、自分が思うほど、相手は怖い人でもないということがなんとなく分かったからだと思う。
まだどっちに転ぶか分からない前からうじうじ悩んだり嘆いたりしてもしょうがない。
誘うことが嫌じゃなくなった理由がもう1つあって、誘ったら絶対に「いいね!」と言ってくれる友だちが出来たからだと思う。
気持ちよく、心から「いいね!」と言ってもらうことの快感を知ったからだ。
彼女の「いいね!」にすごく背中を押されたと思う。
ありがたいことです。
「苦手」が少しずつなくなっていくから、そういう点では歳を取ることがとても楽しい。