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Non travelersが集うホステル。「なぜ私たちはそこへ行きたくなるのか」をdigる。(下)


こんにちは!
前回、Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE(以下、Nui. )が放つ異彩の謎を解くためにdigって魅力ポイントをまとめました。

本記事はそのつづき!

▶前回のつづき▶
こちらが前回の記事で出てきたNui.の異彩の理由5つ!

【異彩の理由①】
都内にいながら自然の中にいるような気持ちになれるこだわりの空間づくり
【異彩の理由②】
「お気に入りの席」を持ちたくなるラウンジ
【異彩の理由③】目的に合った楽しみ方ができる
気軽に入れるカフェ / バーとしての機能(空間)
【異彩の理由④】
イベント・コミュニティスペースとしての機能でホステルの概念を拡張
【異彩の理由⑤】安心して遊びに行けるその日まで応援できる方法を提示
マーケティング目線でさらっとおさらいしましょう。

では、本記事ではこれらを
マーケティング視点でdigってまいりましょう~

ちなみに以下は主にマーケティング的視点で
「一般的なホステルの概念と比較したり」「独自性を深堀したり」して
筆者の個人的な見解や意見を述べているものです。

必ずしもBackpapackers’ Japanさんの意志や意見に
沿ったものではないことを明言しておきます。


▶マーケティング視点でdigる▶

【①】都内にいながら自然の中にいるような気持ちになれる
こだわりの空間づくり
【②】「お気に入りの席」を持ちたくなる
   バラエティー豊かなチェアとテーブルと配置

顧客満足度(CS)を高くすることで人々が「繰り返し」来たくなる工夫を行っています。
リピーターの創出ですね。
新規顧客を獲得するのには手間と時間がかかるケースが多く、それであれば一度来てくれたお客さんに繰り返し来てもらえた方が効率も良く、そこからクチコミで広がることも誘発できます。

【③】目的に合った楽しみ方ができる
気軽に入れるカフェ / バーとしての機能(空間)

サービスの拡張により、宿泊者以外の顧客を獲得。マーケットの拡張。

ホステルのマーケットを
「外国人観光客で単身 / 少人数グループの人」だと仮定すると
そのマーケットから更に幅を広げるためには
「外国人観光客で単身 / 少人数グループの人じゃない人」が来てくれる理由が必要になります。

そこでNui. ではカフェとバーを充実させることで
「ただカフェやバーに行きたい人」というマーケットにもアプローチが可能になったのです。

宿泊客として利用する人からしても
ラウンジ、その中のカフェやバーが充実しているのは便利
心地よいことです。

これは1人で海外に行く際は
必ずホステルに宿泊する筆者の実体験からの意見でもありますが
ホステルの場合特に「共用部の充実度」というのはとても重要になります。
その理由はホステルの部屋は大体
他の旅人とシェアで複数の二段ベットという形態が多いからです。

「部屋にもどるともうPC開けないし、飲み物も飲めないし
でももう外にはでたくない、お店もやってないし…。」なんてことは
よくあります。


又、よく旅行をする方はイメージがつくかもしれませんが
例えばチェックイン前
「少し早く着いちゃったけど周りになにがあるかわからないし、
疲れてるから歩き回りたくないな~、、、」
なんて時

チェックアウト後
「空港にいくのはまだ早いし、でも出かけてまた荷物をピックアップに来るのは面倒。」なんて経験はありませんか?

ホステルのラウンジでコーヒーブレイクや食事をとれて
更にその環境が心地よければこのワンスポットで解決されるのです。
ワンスポットで解決されれば、そのワンスポットでお金を使います。
つまり通常は「部屋代を払って宿泊して帰る。」お客さんから
「部屋代を払って、コーヒーやお酒、食事を購入して、帰る。」お客さんにまで消費の幅の拡大をしているともいえるでしょう。

他のホステルがカフェやバーにこれほど注力する前にNui. はこの業務形態を確立させたことにより、先発優位性を発揮しています。
➡「先発優位性」とは読んで字のごとく
「他者よりも先に新しいことをした方がその業界で優位な立場に立てる」
性質という意味です。

2012年にオープンしたNui. は
ホステル×カフェ×バー×イベントスペースという掛け算を行ったパイオニア的存在だと思います。

現在ではホステルやゲストハウス
(ホテルとの差別化で簡易宿泊施設と呼びばれますが)の量は
8年前と比較して急激に増えています。
その数は東京都内だけで約2,300軒以上にもなります。

ホステルやゲストハウスが増えた理由としては次の2点が考えられます。
①2020年度開始予定だった東京オリンピックに備えた宿泊業界の盛り上がり
②LCCの増加により安価に旅をしたい若者やひとりで旅をするバックパッカータイプの外国人観光客が増えたこと

※参考:国土交通省観光庁「訪日外国人消費動向調査」
国土交通省「我が国におけるLCCの参入促進」


このような状況の今や
さまざまな独自のコンセプトを持つホステルが建っていますが
Nui. は着手のタイミングだけで考慮しても業界でのパイオニア的存在と言えるでしょう。

もちろん!
Nui. の人気や知名度は先発優位性だけによるものではありません。
あくまでひとつの要因という話ですよ。


【④】イベント・コミュニティスペースとしての機能で
   ホステルの概念を拡張

➡こちらもマーケットの拡大として捉えることもできるでしょう。
先程「宿泊客+カフェやバーを利用したい人+チェックイン前後の旅行客」と拡大されてると述べましたがここで更に「+イベント参加者」が加わります。

また別の見方をすると
月イチ蔵前のような近所のお店や人々を繋ぐ場としての役割を担っていたり、インディーズアーティストのパフォーマンスの場として提供しているという点ではソーシャル・マーケティングを行っているともいえるかもしれません。

ソーシャル・マーケティングというと
「NGOとかがやってること?」と頭に浮かぶ方も多いかもしれませんが
そういった「非営利組織」が行うことに限らず
営利目的のある組織が「社会にもよいことをしよう」と行う活動や事業も
ソーシャル・マーケティングなのです。

ではなぜNui.のやっていることが
ソーシャル・マーケティングになりうるのかというと

とても簡単に言えば

①近所のお店や人々を繋ぐ場=コミュニティが育まれることで
それぞれのビジネスチャンスやネットワークの幅を広げる。
暮らしやすい地域をつくる貢献。
②アーティストのパフォーマンスの場=アーティストへの機会の創出。ファンとアーティストがより近い距離で関われる場の創出。
 などなど。

①に関しては「ご近所さん同士が知り合いだと安心してより暮らしやすい」という感覚をイメージしていただければ、結果的にNui. がイベントスペースとして人々の交流や機会を生む場として、社会的にも良い現象を起こしていることがご理解いただけるかと思います。
②の話に関しては、アーティストは、大衆への知名度やそれまでの経験値が低い場合、パフォーマンスをする場所を手に入れることが難しい場合があると考えられます
そのような場所を提供することで、アーティストはもちろんのこと既にいる彼らのファンにとっても機会を提供していることになります。

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また、Nui. は本来のホステル、カフェ&バーとしての業態なので
「ん?いつもコーヒーを飲みに行ってるNui. がなんかやるらしい。」と
既存のファン以外のお客さんにアーティストを知ってもらう機会がうまれる可能性もあるのです。

そういう意味ではアーティストにとって「新規ファン獲得の可能性」
お客さんにとっては「新しい音楽や趣味への出会いの機会」を提供していることになります。

Nui. にとっていいことはあるのかという人がもしいたら
ソーシャルグッドなことをしている人や組織のイメージは
当然よくなりますよね?

簡単に言えば
「Nui. は泊まる場所としてもカフェとしてもバーとしても素敵で好き!」
な人がすでにいたとして「社会にまでいいことをしている!もっと好き!」となるのではないでしょうか。
ちょっと極端な言い方ですが(笑)


【⑤】安心して遊びに行けるその日まで、応援できる方法を提示

「未来への消費」をデジタル化によって実現した
➡こちらに関しては特に今コロナクライシスによって経済的痛手で苦しんでいる宿泊業界や飲食業界の方々にぜひ参考にしていただきたい点です。

「今はお迎えできませんが、未来でお待ちしています。」と
サービスを届ける方法をデジタル化
することで
この思いを皆さんのお客さんにも届けることがでいるかもしれません。

チケットの形態やシステムの導入でコストがかかるとは思いますが
少しでも現状を支える収入とお客さんとの繋がりの維持や獲得の為のひとつの手段になりうると思います。
ちなみにBackpackers’ Japanさんは
こちらの宿泊予約のD2Cプラットフォーム「CHILLNN」さんとの提携も行い、チケット販売をしています。


是非ご覧ください。

ここまで読んでいただいた方、ありがとうございます。

既にNui. を愛していた皆さん。
何か新しい気づきや「やっぱりNui. っていいよね~」と再確認を得る時間になったでしょうか。

初めてBackpackers’ JapanさんやNui. を知った皆さん。
「素敵な会社だな。」「いいね~今度行ってみようかな~。」なんて思っていただけたでしょうか。

ホステルや何かビジネスをされている方で
「なるほど。こういうことができるかも。」などとアイデアに繋がりそうな予感を得た方はいらっしゃるでしょうか。

なにはともあれ、コロナによってなんだかネガティブムードの漂う今
この記事を目にしてくださったあなたに少しでもポジティブなものをお届けできたのなら嬉しいです

ちなみに私の記事ではないですが
Backpackers’ Japanの代表・本間さんが「アフターコロナ時代に向けて」
というインタビューを受けてらっしゃいます。

私は今回マーケティング視点も使って
Nui.がなぜこんなに魅力的なのかをdigった(理解を深めた)のですが
本間さんが「マーケティングではなく、理念からアプローチする理念づくり」というお話をしてるインタビューがあるので是非ご覧ください。


では、改めまして
【This is sick】イケてるブランドや企業をマーケティング視点でdigるvol.1
Non travelersが集うホステル。「泊まる場所」の概念を越えた場所づくりをdigる。】

を読んでくださりありがとうございました。

ただただNui. が好きなひとりのファンである筆者
勝手にご紹介と分析をさせていただきました。(笑)

また安心して外に出ることができる日に
Nui.で気持ちのよい時間を過ごしましょう。

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