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「ART SCHOOL/luminous」を聴いて


正直、これほどのピュアネスを保てる人も珍しいなと思った。
人は、生活する中でこの悪夢みたいな世界の中で痛みを苦しみを否が応でも経験させられて、無理矢理にでも世界の本当の色と真実を突きつけられて「大人」というつまらないけどある意味自由である意味不自由な足枷をじゃらじゃら鳴らしながら行進させられ社会という歯車にピッタリと嵌め込まれた生き物に変えさせられる。
そしていつしか夢想してた理想とか夢物語とかそんなものを捨て去っていく。
「立場」とでも言う様な立ってる場所が変わる。
「責任」なんてもの、「義務」なんて言う重石を背中に押しつけられる。
夢なんてものが所詮夢だという事を思い知らされる。

まぁ長々とよくわからない言い回しで書き続けたが、要は「冷めていく」。
大人にさせられて全て冷めて乾いていく。
それなのに、ART SCHOOLの木下理樹の心の頭の世界は今だに「子どもの青春時代の絶望と希望の世界」のまんまだ。
まるで絵画の様にかっちりと「Boy meets Girl」の世界のまんまだ。
ある意味「うらやましく」も思う。
今回のアルバムは、もう有り得ない位「ART SCHOOL」の世界。
光と影が希望と絶望がキラキラ交差しながら願う無垢な祈りそのものだ。
本当に変わらないピュアネスがそこで鳴っている。
古傷が綺麗に見える瞬間。
その刹那をいつまでも表現続けるこのバンドの輪郭に触れて、自分も忘れてた何かを揺さぶられた。それは間違い無い。
今回、もう一つの一翼のギターの戸高くんの歌も収録されていて最早「戸高ワールド」は必要不可欠な位ART SCHOOLの世界にハマっている。
最早「メンバー」といっても過言では無いリズム隊のお二人もアートスクールの世界をしっかり形作っている音を放っていて、バンドとして今1番調子の良い状態なのかなぁと想像出来た。

長いバンド歴で木下理樹という男はアートスクールという夢を辞めるという選択をしないというのは何故なんだろうといつも思う。
でも今回のアルバムを聴いてなんとなくその理由がわかった気がした。
このバンドは本人そのものの真実で全てなのだから辞められる訳ないのだ。

シロップ16gという双璧を成すバンドが居る。
彼らの方が心の傷を生きてく痛みを隠す事なく曝け出し血まみれになりながら一旦歩みを止めてしまったバンドもいる。
ARTは彼らよりもピュアネスで有りどこかで希望を信じている様な気がした。

本当にお帰りなさい。
自分もなんだかまだ進めそうな気がしてきた。

続く。

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