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「#この街がすき」ではなかったけど

こんにちは。
森健太郎デザイン事務所の森です。

私は今、山形県米沢市に住んでいます。週末は宮城県仙台市にいますので、南東北を拠点にしています。

山形県米沢市が地元です。
私の来歴についてはnoteで自己紹介をさせて頂いておりますので、こちらをご覧ください。


お題が「この街がすき」なのにタイトルが「この街がすきではなかった」なんて、ひねくれた奴だとお思いでしょうけれども、私の地方についての考えをお伝え出来ればと思っています。


地方の良いところは不便で何もないこと

だいたい想像がつくと思いますが、私の住んでいる地域は田舎です。
コストコも一軒め酒場もありません。※スタバとジンズはあります。

豪雪地帯に認定されていて、冬は身長を越える積雪があります。
盆地ですので夏は死ぬほど暑く、海風もありません。

工業が盛んな街なので、高校を卒業すると何かしらの工場や運送関係に就職します。少ない給料で高い自動車の維持費を払い、遊びに行く場所もないのでラーメン屋に出かけます。

私が中学生の頃は、バンドマンとカラーギャングがイオンに大量発生しました。

山形大学のキャンパスがありますが、卒業してこの街で働く学生はほとんどいません。

どうでしょうか。住みたくなってきましたか?

車の形と道がなくなるほど雪が降ります。

このような街でしたので、元来ミーハーな私は中学生の頃から「オラこんな村出てってやるだ」と考えていました。大学に行く為ではなく、この街を出る為に大学に進学したようなものです。

大学、社会人と地元を離れてみると、何もなかったように見えていた東北の田舎で得られたものが意外と多いように感じました。

【貴重な休暇を利用して田舎に遊びにいく都会人】

10年ほど東京に住んでいましたが、住むほどに都会に住む矛盾を感じました。

お盆やGWになると高速道路や新幹線の混雑がニュースになります。
貴重な休みの日にストレスを抱えながら皆、田舎に行くのです。

地方に住む家族に会いに行く事は大変良い事ですし、それによって観光が潤ったりする事はありがたい事です。しかし、私の場合、「オラこんな村出てってやるだ」と息巻いて都会に出てきたのに大枚をはたいて田舎にいくなんて本末転倒だと考えていました。

「田舎は仕事がないから」と都内に住む私の友人は言いますが、選ばなければ仕事はありますし、年収が低い分、家賃も低いので最低限の生活は出来ます。休日の楽しみがNETFLIXとゲームなら、その空間が都内である必要はないです。

地方であれば、旅行もレジャーも近場にたくさんあります。


ただの山と川です。


【外に出るのもかったるいので】

根拠となるデータはありませんが、東北地方は人口に対して演劇や文学で活躍されている方が多い印象があります。

上記の通り、夏は暑く冬は寒く、遊ぶ場所もないとなると家で何かするしかないのです。

宮沢賢治だって、体が丈夫で都会に住んでいたら、文学で大成していなかったのではないかと思います。

閉ざされている時間が長いからこそ、海の向こうや文字や映像に集中できる環境があるんですね。

魅力があるからこの街に住んでいるわけじゃない

私だって、神戸や横浜や西海岸やローマに住んでみたいという願望はいまもあります。ただ、そこに行かなくてはならない必然性が今のところないのです。

魅力的な街は全世界にたくさんあります。私たちはその気になれば、どんな場所にだって行くことが出来ます。なのに、多くの人はそうじゃない。

東京から仙台に戻った時、街は復興して活気がありました。でも「ここには用事がないな」と私は思いました。

学生時代に一緒に過ごした先輩や同級生は半分以上いなくなっていましたし、仕事や家庭があり、昔のように電話一本で一緒に遊びに行ける奴なんていませんでした。

結局、街に魅力を感じていたのは最初だけで、そこに関係する人や仕事や家族がいるから、その街にいたんだと思います。

もしもゴジラが襲ってきたら、死傷数でも経済的にも一番被害が大きいのは首都圏でしょう。しかし、一人ひとりが本当に気にかかる場所は、仲間や家族がいて、自分のルーツがある街ではないでしょうか。

都会よりも地方の方がいいぜ。という話をしたいわけではないです。

不便や問題があるならば、それらを創ったり変えたりする事が我々に求められている気がします。

どんなに有名になっても、昇給しても、私の地元は東京都目黒区にはならないし、父親が草刈正雄になったりはしません。

いつか、またこの街を離れる事があるかも知れません。
でも、ここにいる限りはこの何もない場所を私がすきな街に少しずつ変える事ができると思っています。

そう思うと、少しだけこの街がすきかも知れません。




#この街がすき


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