私が感動したうつ病の治し方

うつ病とは、他人に対する長期に及ぶ憤怒、非難のごときものである。
うつ病患者はしばしば自殺によって自己に復讐する傾向を持っている。
だから、医師が第一に注意しなくてはならないのは、彼らに自殺の口実を与えないようにすること絵ある。
私自身は彼らの緊張を緩和する治療の第一歩として、「したくないことは決してするな」と説くことにしている。これはすこぶる控えめのようではあるが、あらゆる障害の根源に迫るものと信じる。

私もうつ病患者のひとりである。たしかに自殺のことを考えることはあったが、それによって自己に復讐をするということになるとは考えたことはなかった。引用にある「したくないことは決してするな」という言葉によって、気持ちが楽になり、救われた言葉の一つである。

「映画に行きたいならいけばいい、遊びに行きたいなら行けばいいさ。途中で嫌になったら、やめることだ」
これはどんな人間にとっても望ましい状態である。これは、何とか優越感に浸りたいという気持ちを満足させる。自分は神だ、好きなことができると。

「やりたいことをやって、やりたくなくなったらやめたらいい」というのもよくわかる。やりたくないことをやめずにやり続ける先に、精神疾患があるように思う。このくらい、ある程度の雑さを、生きていく上で身につけるべきである。

「この処方どおりにしたら、二週間できっと全快しますよ。それは"どうしたら他人を喜ばすことができるか、毎日考えてみること"です」
これは、彼ら(うつ病患者)にとって重大な意味がある。彼らは「どうすれば他人を悩ますことができるか」と、このことばかり考えている。
ある者は「そんなことは簡単だ。これまでにも実行してきたことだから」と答える。彼らは決して実行してはいない。だから、考えてみろとすすめるのだ。彼らは考えようとしない。すると私はこう言う。「夜よく眠れない時間を利用して、どうすれば他人を喜ばすことができるかを考えたらいい、それが病気回復への第一歩ですよ」と。

これがうつ病を治すための方法になるのだが、それがなんと「他人のことを喜ばす方法を考える」ということだ。
うつ病患者は自分のことでいっぱいいっぱいなはずなのに、他人のことを考えさせるという点が、ポイントのようだ。
他人のことを考える、それもどうすれば喜ばすことができるのか。ただ考えるだけではないので、自分でいっぱいいっぱいな人も、一旦、自分のことは置いて他人のことを考え始める。そうすることで、気持ちに多少の余裕ができる。つまりこれがどういうことにつながるのかというと、

私のすべての努力は、患者の社会的関心を増大させることに払われている。彼らの病気の真の原因は、協調精神に欠けている点にあることを承知しているから、彼らにそれを意識させようと思うのである。彼らが仲間の連中と平等かつ協同的な立場で結合し合えたら、その時に彼らは全快する。

協調精神、すなわち、互いに協力しあう気持ちが欠けているため、協調精神を意識させ、いずれ仲間と平等な立場になることで、うつ病は全快するというのである。

自分のことばかり考えていけば、だれでもだんだんと心を閉ざしていってしまうだろう。そうではなく、周囲の人、社会に関心をもち、自分だったら何ができるだろうとしっかり考える。そうすることで、互いに協力し合う気持ちが補われ、自分自身の心も社会に広げていくことができるので、うつ病を全快させることができるのだ。

私はこの本の内容に出会って、気持ちが少し楽になり、徐々にですが前向きにもなりました。
同じ精神疾患の方に、少しでも参考になれば幸いです。

引用文献:『道は開ける』D・カーネギー著

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