【観た/2024年43本目】映画「かくしごと」観ました。
【観た/2024年43本目】映画「かくしごと」観ました。
【感想】
この嘘を、この愛を果たして断罪できるものなのか。
「社会の仕組み」の非情さに一石を投じる意欲作。
まずストーリー。
父と娘、母と息子という二重の親子関係を序盤で比較的わかりやすく、さっと説明。
この部分が抜群に効いているので、その後に起こるやや荒唐無稽な展開もすんなり飲み込める。
すんなり飲み込めるので、キャストの台詞や心情がこれまたわかりやすく、ダイレクトに響く設計。
原作は未読なのですが世界観はきっちり抑えていたのではと想像します。
次に演出や演技。
まず綿密なロケハンを行ったことは明らか、「あの場所」を探し出したことに感服。
さらにしっかりとしたキャスティング。
主演の杏さんのしっかりとした母性を感じる演技もさることながら、
奥田瑛二さんの役に殉じるかのようなインテンシティの高い演技、
中須翔真さんの子供ならではの生命力を感じる演技、
と見所を混雑させること無くすっきりと撮りきっているのは、流石、たしかな監督の手腕を感じます。
ただ、あえて言えば、、
杏さんの苦悩、狂気みたいなものがもう少し踏み込んでもよかったかも。
奥田さんにとってもチャレンジングな役作り、その分やや過剰。
には感じました。
さて。
お話は荒唐無稽で現実にはあり得ない。
千沙子の行動にも突飛な所を感じてしまうし、
冷静な大人ならやらないことばかり。
それでも尚、鑑賞して感じたのは、
「この過ちを責める事が果たして善良と言えるのか」
という自分への問い掛けでした。
世の中には「あの子」のような環境は実際にごまんと存在し、
意外と身近な所でも見聞きする。
他人事と割り切ってしまえば、「制度」に落とし込めばよいとも思ってしまう。
そしていつしか制度自体を疑わず、社会のゆがみから目をそらし、注ぐべき愛情を忘れてしまう。
ラストシーン。
少年の言葉、まなざし。
許される社会、
もっと優しい世の中を作ってこなかった大人として、
申し訳ない、苦しい気持ちになりました。
【評価・つけるとすれば】
3.9です。
ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です
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