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【観た/2023年34本目】映画「ザ・ホエール」観ました。

【観た/2023年34本目】映画「ザ・ホエール」観ました。

【感想】
愛すること、信じることの残酷さを有り有りと炙り出す!!

まずストーリー。

演劇が原作の密室会話劇。
メイヴィルの小説「白鯨」をメタに一つ一つのセリフを際立たせ、
ゆっくりじっくり、確実に進行していくストーリーテリングは実に重厚。
テーマの際立たせ方、迫り方もソリッドでヒリヒリ感も十二分。
キリスト教的な素養やアメリカ社会の歪みへのリテラシーは多少要求される感はありますが、
それでも局地的、他人事ではないストーリーに仕上がっています。

そして演出、演技。

少ない登場人物(わずか5人)だけできっちり牽引。
一人一人の感情の機微と飽和を、会話だけでなく、佇まいや目線、静的な立ち位置などで表現し、
過剰な説明をそぎ落とす、引き算の演出は奥行きの深さを作っています。

そして何より俳優陣の熱演。
特に、やはり、ブレンダンフレイザーの細やかな演技には目をみはるものがあります。
特殊メイクにまるで見えない巨体、ちゃんと病的、死期が迫る表現も秀逸。
鬼気迫る、とはまさしくこういう演技のことを言うのだと感じました。

さて。

本作の大きなテーマである贖罪、救済。
作品では「正直である事」「ありのまま」にその解答を委ねています。

振り返って実情。

個人であっても社会であってもなかなかに偽りなく生きることは難しい。
結果の残酷さをどこまでも受容することも求められる。
それは達観なのか諦めなのか、それとも慈悲なのか。
「あなたは払う犠牲の痛みに耐えうるのですか」と深く問われている様に感じました。

個人的には娘を持つ父としての有り様を強く揺さぶられる経験となりました。
傑作です。
強くお勧めしたいと思います。

【評価・付けるとしたら」
4.2です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

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