見出し画像

【観た/2024年04本目】映画「市子」観ました。

【観た/2024年04本目】映画「市子」観ました。

【感想】
「市子」の涙が、笑顔が、突き刺さる。「救済」という言葉の意味を強く問いただす、リトマス試験紙のような作品。

まず、ストーリー、脚本。
「ある社会問題」を真っ正面から書き切った、これは相当な覚悟。
台詞も多弁にならず、そぎ落としも十分。
ト書きで状況設定をしていくのも好感度が高く。
映画としての質を十分に担保できています。

そして演出、演技。

豊かではないが幸せ、市井の人々の風景を十分に映し出す。
貧しさも不幸も避けがたい状況、解決不可能感もこれでもかと表現。
心が震え、歯を食いしばってしまうようなシーンの連続には体力的なものを要求されますが、
作品の主題からブレずにまっすぐな点は大いに共感しました。

そして演技。
杉咲花さん、、。
もはやこのような社会性の高い映画には欠かせない存在。
ほかの誰が演じてもおそらく実存感がない。
凄まじい高みにいることが確認できます。
また、若葉達也さん、宇野祥平さんと確実すぎるキャスティング。
演技のぶつかり合いはもはや唸る以外何もできないレベル。
見応えはこれまた十分過ぎました。

強いていうならラストの件、その結末、市子の行為。
この一連の結果は肯定と否定がいり交わるとは思うのですが、僕は否定派。
それだけは残念でした。

さて。
法治国家といえど当然に法律は万能ではなく。
法律自体が間違っていることだって忘れてしまい、社会との不合理に加速感を与えてしまうこともある。
これを忘れてしまうと、どうしても社会から何かがこぼれるように思います。
この作品では、幾つかの大きな社会問題と、その中でも懸命に生きる、そして人を愛する様を描いています。

とても他人事とは思えない。
いつか手のひらの上の幸せがするっとこぼれてしまうかもしれない。
だから、今、目の前にある幸福、すぐ隣にいるあなたから、目をそらさず、まっすぐに向き合わなければならない。

社会問題にコミットする気持ちも新たになりました。
強くおすすめの一本です。

【評価・つけるとすれば】
4.1です。

ちなみに
☆1 ・・・金返せ
☆2 ・・・DVDで十分
☆3 ・・・劇場で観る価値有り
☆4・・・・是非オススメ!
☆5・・・・生涯の名作!です

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?