【観た/2023年2本目】映画「死刑にいたる病」観ました。
【観た/2023年2本目】映画「死刑にいたる病」観ました。
【感想】
笑顔の奥に秘められた狂気に恐怖する、濃密なサイコスリラー!
まずストーリー、脚本について。
原作は未読なので差異はわかりませんが、サイコスリラーとしての文法をきっちり守った、練り込まれた展開。
家族の関係性や孤児問題といったところを下敷きに、社会の無関心や思い込みの怖さをあぶり出す手法は十分見応えがあります。
次に演出や演技について。
殺人鬼榛村は阿部サダヲしかできない役をしっかり持ってきた印象。
慈愛に満ちた笑顔、穏やかな物腰、からのエグい殺人マシーンへの変貌は監督の意図のおそらくは上を行く怪演。
見応えあり、というか、もう見応えしかなくて、後半は胸焼けするレベル!(褒めてます!)
難点を上げるとすれば、
・脇を固めるはずの俳優陣、家族役の二人やもう一人の主人公の青年はややインテンシティが落ちる印象。
・あえてなんでしょうが、回収していない伏線がいくつかあり、やや物足りない。
・残虐シーンが苛烈に気持ち悪いので観る人を選ぶ、とはいえ世界にはもっと振り切った作品もあり、中途半端に感じる。
・終始ヒリヒリする展開ではあるものの、もう一つ起伏だったり、もう一段階盛り上がりが欲しい。
と言った点。
総じてサイコサスペンスとしてはラストも含めよく出来てるんだけど、少し輪郭がぼやけていると感じました。
さて。
犯罪は社会病理である、と聞きかじりつつも、どうしたって他人事で関心の向こう側。
これがもし、身近な、例えば隣の家での出来事だったら、恐ろしさは加速していく。
普通の人なんて世の中に果たして存在するのか。
シリアルキラーは果たして空想上の存在なのか。
僕は、あなたは本当に「榛村的要素ゼロ」で暮らしているのか。
いずれもなんとも言い切れない、苦い思い、ダークグレーな感情。
これらを提示した今作、一定の成功だったのではと感じます。
【価点・つけるとしたら】
☆3.9です。
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