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[OldCityBoy的「アート」鑑賞] 絵画に演出を初めて持ち込んだ"ジョット"の偉大さ

"ジョット"ですが、「西洋絵画の父」ともいわれている偉大な画家のことです。

が、何が凄いのか分かりやすく説明されたものをみたことが無いので、自身がそれを試みますね。

自身は"ジョット"のことを、絵画に演出を初めて持ち込んだ人、の認識しています。よって絵と言うものは、ジョット以前・以後に明確に分かれるのです。

具体的に、ジョットの時代の絵画といえば宗教画ですが、ジョット以前では、極端なことを言うと"単にヒトを描いただけ"の絵なのです。

が、ジョットはそこに演出を持ち込みました。つまり、絵画でストーリーが分かるようにしたのです。

例えば下の絵では、キリストの死を皆が悲しんでいる、ということが一瞬で分かります。

Scenes from the Life of Christ: 20. Lamentation from Wikimedia Commons

つまりカジュアルに言うと、絵を漫画にした、ということであり、漫画としてキリスト教のストーリーが分かるように様々な技術を用いて演出した、というのがジョットの偉業の認識です。

例えば、下の絵だと登場人物の視線が幼いキリストに集まるように描かれており、鑑賞者の目線も自然にキリストに向くようになっています。さらに細かいことを言うと、1人だけロバを見ていることで違和感を抱かせ、そのロバはキリストを見ているため、鑑賞者の目線が、違和感→ロバ→キリストに向くようになっています。つまり非常に凝った演出が施されているのです。

No. 18 Scenes from the Life of Christ: 2. Adoration of the Magi from Wikimedia Commons


一方、ジョット以前の下の絵では、そのような演出は無いのが分かると思います。(でも、鑑賞者がほぼ全員から見つめられているような感覚に陥る、凄い絵なんですよ~。)

Santa Trinita Maestà from Wikimedia Commons


次の絵だと、登場人物の視線がキリストに集まるようにしてあるだけでなく、棒状のものを描くことで喧噪を表現し、さらにそれもキリストに集まるように描くことで光がキリストから発せられるように見え、キリストの特別感も演出されています。

No. 31 Scenes from the Life of Christ: 15. The Arrest of Christ (Kiss of Judas) from Wikimedia Commons

この演出なるものは、当時は大発見だったはずで、それ以降の画家は皆この演出なるものをパクリ始め、その進化が始まりました。

分かりやすいのは、ダビンチの"最後の晩餐"で、登場人物の視線の使い方や演技の演出が凝っているのが分かると思いますが、上のジョットの絵と共通点が多い(視線、色使い、棒の代わりに遠近法、等々)、のはなんとなく感じることができると思います。

The Last Supper from Wikimedia Commons


ちなみに、絵の演出の観点から言うと、漫画と言えば日本のお家芸で世界で類がない!、と日本人は誇りにしそうですが、漫画の始まりとされている"鳥獣人物戯画"はジョットと同じような時期に描かれたらしく、よって、絵をストリート仕立てにするという行為は、時期も含めて日本だけのものではないのです。


と、自国だけでなく世界の歴史・文化にも目を向けると世の中をもっと面白がれるよ、という記事でした~。



#アート #芸術 #絵画 #西洋絵画 #ジョット  

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