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趣味を仕事にする?しない?


私がケーキ屋さんになりたいと
思い始めたのは、たぶん幼稚園の時。
なんとなぁく。

それが具体的に将来の夢へと変わったのが
小学四年生の頃。

初めてのレシピ本
"ぜ〜んぶホットケーキミックスのおやつ"
という本を買ってもらい
家でお菓子作りをするようになってから
お菓子作りの魅力にハマった。

家族の誕生日には
その本のレシピでお菓子を作って
喜んでもらえるととても嬉しかった。

さらに決め手だったのが
"夢色パティシエール"

あのアニメを観てますます
私も絶対パティシエールになると決めました。

そしてなんの迷いもなく
食品科のある高校に進学し
その後当たり前のように製菓の専門学校へ。

卒業後の最初の就職先は勇気を振り絞った東京。
田舎もんの私からすればかなり大きな決断でした。

それでも働きたかったのは
宝石のようにキラキラしたケーキが
ショーケースいっぱいに並び
店員さんの丁寧な対応に感動し
ここだ!と思うパティスリーを見つけたからです。

初めての一人暮らし。初めての都会。
想像をはるかに超える寂しさがありました。

でもわたしには目標がありました。

○少なくとも3年は続ける
○全ての仕事をマスターする
○そしてフランスへ修行へ行く
○一流パティシエールになる

ところが実際仕事が始まると
現実はそんなに簡単にはいかず…
私は壁にぶち当たりました。

朝6時半には出社して
終わるのは夜中1時やら2時やら3時やら。
とにかく寝る時間がないのです。

買い物にも行けず食べ物はほぼコンビニ。

月の休みは3回〜5回。

そして社会保険など福利厚生は一切なく
お給料は手取り14万前後。(総支給額)

東京はとにかく家賃が高いので
5畳ワンルームでひと月6万円。

そしてなにより
オーナーシェフの罵詈雑言と暴力。


自分の生活すらままならない状況が続き
ついには身体がおかしくなり
私は半年でそのお店を辞め
地元に戻ってしまいました。

東京にくるにあたり、たくさんの準備があり
両親にはかなりお金をかけさせてしまいました。
それなのに目標の3年どころか1年も続かず
申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

実家に戻ってからもしばらく仕事が決まらず
まだお菓子を作る仕事をするのか
それとも転職するのか
たくさん悩んだ時期がありました。

でも、私の中で
せめてこれだけは守ろうと決めたのは
専門学校で学んだこと、時間、お金を
無駄にしてはいけない。この業界は絶対辞めない。
ということでした。

最初の就職先でのトラウマもあり
この業界はこんなものだと
覚悟するのに時間がかかってしまいましたが

新たにケーキ屋さんに
仕事を決めることができました。

福利厚生、休日、労働時間
全てきちんとした職場です。

そこでももちろん辛いことはありました。
でも東京で働いたあの半年間が糧になっていて
辛いことも容易く乗り越えられました。

東京の職場では
生クリームを扱うことも
メッセージプレートを書くことも
全てシェフの仕事で

私たち新人は
シェフがすぐ仕事に取り掛かれるように
準備すること、布巾が汚れていたら変えること
掃除、ゴミ捨て、片付け、補充
販売をする、袋詰めをする、ジャムをぬる
チョコを削る、イチゴを切る、皮をむくなどの
単純作業だったのに比べ

地元の職場では
シェフがやっていたようなことを
全てやらせてもらえました。

元々お菓子作りが好きで選んだ仕事だから
それがとても嬉しくてとても楽しかったです。

もちろんそれに伴う緊張や責任はあります。
おうちでお菓子を作るのとは違い
仕事にするということは
衛生面もクオリティーもスピードも
すべてに気を張って臨む必要があります。

でも挑戦させてもらえる環境がありがたくて
気づけば6年勤務していました。

結婚して赤ちゃんを授かっても
周りの人が助けてくれる素敵な職場だったので
退職するまでのんびり働かせてもらう
ことができました。


趣味を仕事にするうえで
私が感じたメリット、デメリットは

メリット
○楽しい
○好きなことが同じ人がいる環境
○やりがいがある
○成長できる

デメリット
○理想と現実の違い
○楽しいことだけではない

結論、私は趣味を仕事にしてよかったです。

東京にいた半年は本当に辛くて寂しくて
目標も見失ってただただ必死に
仕事にくらいつく毎日。

ちょっとトラウマになりました。

でもあの期間は人生において大きな財産となる
とても大切な経験でした。

また専門学校からやり直せるとしても
同じ道を選ぶと思います。

そして何より
あのシェフのケーキを超えるケーキは
今も私の中に存在しません。

就活中はいろんな県に行き
何十軒もケーキ屋さんをまわりましたが
一番美味しくて魅力的でした。
それは今も変わりません。

シェフが出版したレシピ本を密かに購入し
家でお菓子作りを楽しんでいるほどです。


世の中にはたくさんの職業があり
人それぞれ目標を持って働いているかと思います。
私にはパティシエの仕事が
一番自分にあっていました。

好きなことを仕事にするというのは
賛否両論あると思いますが
私は賛成派です。

何を選んでも
続けることができるかどうかは自分次第。
どうせなら仕事も楽しみたい。

だったら好きなことを仕事にするのは悪くない。

退職した今でもお菓子作りは私の一部です。

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