見出し画像

237.20220805:ランの回:屈強家政師

ラン

午前中泰市タイチと遊んで、
おちびと昼食を711号室でとってたら、
ナセリアナが号泣しながら飛び込んできた。

キャレンタが呑んだくれてて
正体不明のまま吞み続けてるって。
寝落ちれないくらい
辛い事があったみたいなんだけど
どうしたら良いのか分からないって。
「みたい」っていうのは、
一昨日から昨夕まで
ナセリアナは定期精密検査で
留守にしてたから
分からないんだって。
コゥンリー家は親族会議で全員留守だし、
ギレルミナとリエーブレも撮影で留守だしで、
パニックを起こして
思わずここに来ちゃったって。
とりあえずナセリアナを
おちびと二人でぎゅうってして
落ち着いてもらって、
お蕎麦を食べてもらって
薬草茶を飲んでもらう間に、
敏腕家政師に連絡して
相談してから、
ナセリアナとランは
キャレンタの住居へ駆けた。
泰市が不安になるといけないからって
おちびは獣医へ行ってくれた。
敏腕家政師は屈強な同僚を
キャレンタの家の前に寄越してくれた。
キャレンタが後悔するような事を
未然に防ぐ為だって。
「明日の夕方まで
予約が入ってないんで
徹夜勤務できます」とまで
屈強家政師は言ってくれた。

ランの顔を見るなり、
キャレンタは酒瓶を
お水のピッチャーに持ち替えて
一気に飲み干すと、
立ち上がって
ヨタヨタのフラフラで
奥に向かった。
屈強家政師がすかさず支えた。
嘔吐と水浴びを手伝ったみたい。
うん、
気付かなかった振りを通すけどさ。
やばい。
こんな時に不謹慎だけど、
キャレンタって
本当にランを好いてくれてるんだね。
ちょっと……かなり、
グッときた。
キャレンタに一歩踏み込む
勇気が湧いた。

とは言え、
キャレンタは
やっぱり呑み過ぎで、
頭の回路がプツプツ
途切れちゃうみたいで、
よどんだ目で酒瓶をまたあおろうとしては、
一瞬正気に戻ってピッチャーに持ち替えて
「何なんだろな」って呟いて、
また酒瓶を掴んでの繰り返し。
「キャレンタ、ごはん食べよう」って
ランが言ったら、
回路が繋がって
「ワリィ……
屈強家政師この人貸して、
ナセリアナを泊めてやって」って。
「明日全部……聞いて」って。

明日ね。

マリエラセス暦3903年8月18日せい曜日24時5分。


#ラン・リエルロイスと兎小人 #日記 #イラスト #小説
#ファンタジー #一次創作 #プラトニック
#Cmon諭 #嘉又夢了 #環を持つ土塊の星 #711号室


宜しければサポートの程、お願い申し上げます。 頂戴したサポートは、 闘病生活と創作活動に充てさせていただきます。 スペインはグラナダへの長期取材を夢見ております。