408.20230122：ランの回：浮遊魔法呪符
金色のガス纏う星、すごいね。
ギレルミナに飛行機とロケットの写真も見せてもらった。
銀色で硬質にした魔鳥みたいな飛行機は
ヒューマンが三百人も乗れるんだって！
空を飛ぶのもそうだけど
三百人も運べる乗り物なんか
今の環を持つ土塊の星には無いから、
ギレルミナも初めて見た時は魂消たって。
金色の星では夕焼けとか朝焼けが見られるけど、
青海の星みたいなはっきりした色彩は無くて
良く言えば幻想的なんだけど
ギレルミナの好みではなかったから、
ランの話で知った青海の星に行きたいって。
昨日の朝、
リエーブレとギレルミナが来る前に
キャレンタに凌司さんの件で電話したら、
久幸さんから最初に
相談が有ったから知ってるって。
「此処はひとの出入りが多いのと
空いてる寝室が無いのとで、
７１１号室の安息室なら適してるかと思って、
俺がヒサユキに提案したんだよなー。
ヒサユキのリューシへの第一印象が
『ぼやっとしてるおっさん』だって言うから
目覚めても
ランの頭にくるような事も
やらかさねぇだろと思ってな。
ラントゥ泰市が誰かひとりでも嫌がったら
ラリーサの管理物件と家政師を手配する予定だったんだ。
今夜になってもランが話してくれなかったら、
ちょーっといじけてたな！」ってゲタゲタ笑ってた。
おちびが黙ってましょうの合図を寄越したから
言うの止めたけど、
一昨日おちびが言ってくれなかったら
キャレンタに話すの忘れてた事は
此処だけの秘密ね。
朝大空さんが来て点滴を換えるのが日課になった凌司さんを
今日キャレンタが見に来た。
違う生き物にされた上に
床ずれしたら可哀想だからって
浮遊魔法呪符を買ってきてた。
おちびもランも全然思い至らなかった事だったから
ちょっと惚……見直した。
マリエラセス暦３９０４年２月９日赤曜日２４時０１分。
（この星の一日は２６時間）
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