194.20220623☆：トゥの回：求婚確定
キャレンタめぇええええ……ッ！
ヒューマンの惚れっぽさを舐めてました。
朝一番で手編みのネックレスが届いた。
キャレンタはトゥにも読める程の
たぶんとても丁寧に書いた字で、
また缶詰になっているので
身動きできないけれど、
昨日の求婚は
口から出任せの
言葉遊びではないからと
一筆箋を添えて、
伝説の手芸師も斯くやという
極細の金で編んだ
精密で美麗な、
しかも
ランの好みど真ん中を射抜くような
デザインのネックレスを、
如何にも急ごしらえの素朴な箱におさめて、
天地無用郵便で送って寄越した。
ランと、
何故かトゥにも。
いや、
何故かじゃないか。
ランとトゥはニコイチと
何時か言ってたでしたね。
おのれぇえええええい！
何と心憎い事を！
後ろ側は裏返っているが
\ikay”ern'at*anesira'an→arn'*otu'/
「キャレンタ＆ナセリアナからラン＆トゥへ」と
文字が編まれている。
まぁ、
ランがしあわせで居られるなら……
ええ、
トゥもキャレンタの人間性は嫌いじゃない
寧ろ、
好ましいと思っている……
け！ れ！ ど！
何この感情。
お腹の底からふつふつと湧き上がってくる
というか、
煮立った鍋の底から
ふつふつ上がってくる熱々の
アレみたいなコレは？
とりあえず
ネックレスをもらった者は
くれた者へ指輪を返さなければならないので
二人で指輪屋を見に行った。
指輪屋には、
ギレルミナが師匠の家から
持って帰った指輪にそっくりな
かわいらしい物から、
ランが購読している
季刊お嬢様お洒落雑誌に載っているような
豪華な物まで、
隙無く揃えてあって、
初心者には揃い過ぎていて、
ランもトゥも
店員に相談するより
他に選択肢が浮かばなかった。
店員は大層慈しみ深い微笑みで
頂いた物に釣り合いを持たせようなんて
思わなくて良いのですときっぱり言ってくれた。
とても有り難かった。
ランが
結婚はともかくとしても
大好きな人ではあるのだと言ったら、
店員は更に、
大昔はお守りにもなるヤドリギで
環を編んでから
魔法で指輪の大きさまで小さくして
返礼にあてた人も多かったという
話を教えてくれた。
有り難や有り難や。
手ごろなヤドリギを先日
オルエハスネム神の神域入り口で見かけたので
雨が止んだら行こうと話し合った。
……むーーーーん。
マリエラセス暦3903年7月3日赤曜日24時00分。
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