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718.20231127:真弓の回:気付かぬ振り


前話のご案内

久幸と凌司のお話

話中の万禮一家は、 メンバーシップ「夢了の皿」会員の万禮様のオリジナル・キャラクターで 設定その他は会員様御本人と話し合っております。
711号室出演者≒メンバーシップ会員様は常時募集中です♡
万禮様の偶さか日記も併せてお読みいただくと解像度とエモさが跳満です。


711号室


主な登場人物


上段左からラン:久幸ひさゆきの友人。凌司りゅうしの恩人。
トゥ、師匠、おちび:ランの伴侶小人。久幸ひさゆきの友人。凌司りゅうしの魔術の師。
泰市たいち:ランとトゥの伴侶猫。猫獣人に進化しつつある。
武長たけなが華代かよ:凌司と前妻の子。幼少時に凌司の母の養子となった。
香坂こうさかパトリシア真弓まゆみ:華代のバンパイアにおける始祖。久幸の厚意で禁錮刑から減刑され圭家に仕えている。
下段左からサンタ:ねこのぬいぐるみだがトゥの魔法で限定的に猫になる。
スュクセ、すゅー:トゥの特別な遣い魔。個性と向学心がある。
真由まゆ:華代の後天性加護精霊。トゥから贈られたカーボナードの精霊だが人形の中と華代の差し歯にいる。
五号ごごう:バンパイア協会から真弓と華代のお目付け役として遣わされた遣い魔。
左から万禮ばんらい久幸ひさゆき、ヒー、始祖:かど凌司りゅうしのバンパイアにおける直系始祖で伴侶。
かど凌司りゅうし、りゅーし:万禮ばんらい久幸ひさゆきのバンパイアにおける直系係累で伴侶。華代の実父。 
土果とか久幸ひさゆき凌司りゅうし二人の伴侶犬。
恵玄よしはる:凌司の後天性加護精霊。トゥから贈られたカーボナードの精霊。

本編

何時までも隠しておける事ではないので
華代愛し子にバンパイアの常識を一つ
朝食後の皿洗いを二人でしている間に
密かに伝えました。
お正月のランさんトゥさんと
泰市さんに聞こえないよう。
万禮様方が万が一にも下手打った時に
そんな筈じゃなかったじゃないと
発狂するのが目に見えたんで。
覚悟はきちんとしておくべきですし。

我々バンパイアが棺桶沙汰になる程の怪我とは
即ち頭部損壊を指すのだと。
本当は罪人である私と華代が
危険部署に廻される筈だったのですが、
私等の戦闘スキルの低さを理由に
万禮様と圭様が代わって下さったのだという事も。
洗濯組のランさんトゥさんの気配を察して
華代が溢れかけた涙を根性で引っ込めたので
私は安心すると同時に誇らしく思いました。
永久に護るに値する子で良かった。

遠征前の集合時に万禮様に
拳骨を喰らわせたのにはギョッとしましたが。
駆け寄りながら
「大丈夫なの?!」って叫んで拳骨って、
流石の万禮様にも不測だったようです。
みぞおちにスパンと決まってしまい
暫くむせてらっしゃいました。
「言動が一致してないよ、華代。
何が不満だったの?」
圭様の質問に
華代は背伸びしてお二人の耳元へ答えました。
「あー……それね」
「ちゃんとガード呪符を装備してったから大丈夫だよ」
トゥ師匠のご教授のお蔭で
我々は普通のバンパイアより備えが利くからね」
お二人の目が僅かに泳いだ処を見ると
高速回復が追いつく程度の
負傷はしたのかもしれません。
遠征もつつがなく終えた以上は
私も気付かなかった振りをとおすより
選択肢はない訳ですが。
心底お二人が棺桶沙汰になっていなくて良かったです。

マリエラセス暦3905年1月7日紫曜日23時38分


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