750.20231229：ランの回：大人
前話のご案内
久幸と凌司のお話
話中の万禮一家は、 メンバーシップ「夢了の皿」会員の万禮様のオリジナル・キャラクターで 設定その他は会員様御本人と話し合っております。
７１１号室出演者≒メンバーシップ会員様は常時募集中です♡
万禮様の偶さか日記も併せてお読みいただくと解像度とエモさが跳満です。
711号室
主な登場人物
トゥ、師匠、おちび：ランの伴侶小人。久幸の友人。凌司の魔術の師。
泰市：ランとトゥの伴侶猫。猫獣人に進化した。
武長華代：凌司と前妻の子。幼少時に凌司の母の養子となった。
香坂パトリシア真弓：華代のバンパイアにおける始祖。久幸の厚意で禁錮刑から減刑され圭家に仕えている。
下段左からサンタ：ねこのぬいぐるみだがトゥの魔法で限定的に猫になる。
スュクセ、すゅー：トゥの特別な遣い魔。個性と向学心がある。
真由：華代の後天性加護精霊。トゥから贈られたカーボナードの精霊だが人形の中と華代の差し歯にいる。
五号：バンパイア協会から真弓と華代のお目付け役として遣わされた遣い魔。
本編
オルエハスネム巫術のお客さんが来た。
あまりにも無礼で高圧的で攻撃的な物言いで、
理不尽にわざわざ家に来てまで
喧嘩売られたのかと思っちゃった。
開口一番に
言う事を聞かないと此処を燃やしてやるって。
うっかり拳骨握っちゃったよ。
でも価値観とかアプローチの仕方の
常識が全く違うひとがいるって事を
ランはこの一年で覚えたから、
目を一回お客さんからそらして
ゴックンって唾を飲み込んで
わざとらしく大きく深呼吸して
「依頼は何ですか？」って
低くてはっきりした声で訊いた。
魔物のひとなら兎も角
普通のヒューマンの姿だから
余計に吃驚したけど、
ランが想像もできない位
不幸な生まれで、
きちんとした躾を貰えなかった
哀れな生い立ちをしたのかもって、
そうじゃなかったら
突拍子もなく気が動転してて
心と裏腹な言葉が勝手に
口から出ちゃったのかもって、
思うようにした。
そう憐れんでみないと
ランは苛めちゃうからね。
苛めちゃったらお客さんへ此処を
紹介したひとの信用問題にも発展しそうだし。
大人になったでしょ？！
元い、
要領を得ない興奮口調を二時間聞いて
おちびに整理して貰った要点を
お客さんに確認したら、
依頼は陣取り合戦の加勢だった。
「は？」
思わず蔑んだ顔になっちゃったよ。
誰に何て言って
ラン達を紹介されたのか訊いたら、
誰かは答えなかったけど
声無き者の声を聞いて助けてくれるって。
やっとそこでランが気付いた。
お客さんは声が出てなかった。
やらかしたよ。
お客さんの口が忙しなく動いてたから
声が聞こえてるつもりになってた。
精神感応を丸々全部聞いてたから
要領を得なかったんだ。
おちびはちゃんと口の動きを読んだらしい。
おちびが居てくれて良かった。
お客さんはどうも
大勢でのゲームで白熱しすぎたらしい。
声有るひとと諍いになって、
助っ人を呼んでやる
助っ人は何処だって話になってから、
声有る悪意もあるひとに揶揄われたんだろうね。
声無き者の声を聞く加護の人が居るから
その人に頼めば良いんじゃんｗｗｗ的に。
で、奇遇にも近所だったから
冷静になる暇がなかったんだね。
ランが出したお茶とお菓子を平らげて
すっかり冷静を取り戻したお客さんは
深々と頭を下げて帰ったよ。
ラン達がオルエハスネム巫術師として
この界隈で名前が広まってる事を知られたからヨシ！
マリエラセス暦３９０５年２月１１日黄曜日２５時１４分
（この星の一日は２６時間）
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７１１号室第一期第一話
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