20220617:トゥの回:ランの加護
起きて少ししてから
突然ランの加護精霊が姿を現して
発狂寸前に怒り狂い続けていた。
ランは耳に栓をして寝込んでしまった。
尋常ではないので
ママ上とパパ上に連絡して、
「変わった事」の報告として
昨日初めて行った神域の話をしたら、
グランマ上が会いにくるという事になった。
界狭間の研究家だったグランパ上は
ママ上のパパ上で
彼の伴侶ではなく、
パパ上のママ上である
グランマ上ビエリルレス氏が昼過ぎに来た。
トゥには聞こえなかったし
視えなかったけれど
711号室の玄関に
たくさんお客が来ていたのを
早速追い払ったそう。
耳栓の上からも聞こえていた
知らない人達の叫ぶ声が止んだと
嬉々としてランは
床払いして耳栓を外した。
ランの養育者達はランを迎えてから
みんなで話し合って
ランには宗教も生業も
自分で様々な経験を積ませてから
自分で選ばせましょうと決めて、
今日まで加護を知らせていなかったけれど、
加護はグランマ上と同じ
口無き者と声無き者の声を聴く者、
オルエハスネムの巫術師となる者なのだそう!
オルエハスネムの巫術師というのは、
死者や
二足歩行種族の言語を話さない小さな精霊や
獣人化・小人化していない動物と
精神感応で話し合う事ができる、
二足歩行種族の顧客は少ないけれど
彼等から二足歩行種族へ
伝えて欲しいことができると
己の得意とする物を手に訪ねてくる
いわゆる通訳だと教えてくれた。
ランはグランマ上が見つけた時には
死にかけていたから、
加護精霊も加護の覚醒まで
力が回せなかったようで、
やっと快復した後は
成長著しい時期を迎え
その後も長い被害時間があったから、
本調子になれなかったのだろうけれど、
とうとうランが修業を始めるに相応しい
心身の状態になっていると
オルエハスネム神のお見立てを頂戴し、
お呼び出しを受けて、
加護精霊に対して
覚醒の為の荒療治を施されたのだろうと
推察を話してくれた。
加護精霊が覚醒しないと
ランは何時まで経っても覚醒できないからなのだそう。
トゥも波に呑まれたのは、
この生業はどうしても
結婚相手・伴侶動物・伴侶小人の手助けが必要になるから
オルエハスネム神がスカウトするのだと。
相性の良くない加護の伴侶は
失神するから、
しなかったなら
きっとこの生業と相性の良い加護なのねと
グランマ上は嬉しそうに微笑んだ。
ちなみに、
グランマ上の今は亡き結婚相手も
猫と犬と馬の伴侶動物も、
やはりみんな乱暴なスカウトを受けたと。
結婚相手は失神したけれど、
動物には加護は無いから
伴侶動物達は酷い目に遭わずに済んだらしい。
ランは修業すれば
聞きたくない時は聞かずに済むようになれるから
一回修業しましょうねと。
トゥは今この時にも
聞こうとすれば聞こえるのではと訊かれたので、
聞く気になって耳を澄ませてみたら、
すみませんすみませんと
一心に謝っている声が
ベランダの方から聞こえた。
グランマ上に確かめてもらったら
守護神さんに入室を阻まれたと泣く死者だった。
ベランダからなんか
入られては困ります!
誰であろうと! と
トゥは思わず叫んでいた。
グランマ上は一通りの話を終えてから、
お茶を三杯美味しそうに飲んで
買い置きのクッキーを一缶平らげると、
修業前に付き依頼禁止という
結界をランとトゥに張って、
二人をぎゅっと抱きしめてから
さっと帰っていった。
フットワークの軽い大人は神ですね。
トゥもきっとこうなるですよ!
マリエラセス暦3903年6月25日青曜日24時39分。
#ラン・リエルロイスと兎小人 #日記 #イラスト #小説
#ファンタジー #一次創作 #プラトニック
#Cmon諭 #嘉又夢了 #環を持つ土塊の星 #711号室
宜しければサポートの程、お願い申し上げます。 頂戴したサポートは、 闘病生活と創作活動に充てさせていただきます。 スペインはグラナダへの長期取材を夢見ております。