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20220123:刀畿(とき)の回:聖霊の姿

刀畿(とき)

「爺グロリアスへ


一番に見に行ったのか!

笑える。

クラウディオの様子はどうだった?


花の世話は、

精霊どもが鼻先まで飛んできて邪魔ッけだったから

追い払うためにやっただけだ。

気にする事ァない。

(自分の加護精霊ではないから)

何言ってるかは聞こえなくとも、

何となく

お前様が常時やってる事を欲してるくらいは

察しがつくからな。


マリエラセス神の聖霊は、

書記聖霊の微かに親し気な雰囲気を、

うんとうんと濃くして、

温かくした感じだった。

もっと事務的な雰囲気なのかと思ってたが、

全然ニンゲン臭かった。

お前様のクレア祖母ばあ様みたいな色合いだった。

銀色の頭と色褪せた茶系の衣服。

創神者マリエラザの最期の姿なんだろな。


書記聖霊は、

目を凝らしてやっと

これがそうなんだろなーって程度に

ぼんやり雰囲気を感じるだけだ。

言われるまで俺様も存在を忘れてた!

躾でも使わねぇからだナ。

「書記聖霊が視てるヨ!」とでも

言われて育てば

忘れように無いが、

先ず言われないだろ。

死ぬ時に寂しさを一つ無くす為だけの存在だもんな。

何時か誰の記憶からも忘れられるに違いねぇって

思い込みから生じる寂しさ。

常時何時いつもいつでもは覚えてられないかもしれんが、

忘れっぱなしって事には、

あんましならんのにな。


     お前様の友でも在る刀畿より」


3897年1月20日こく曜日、上之城刀畿:記。


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