20220524：トゥの回：龍の涙
ランは苦痛緩和魔法は必要なくなったけれど
急な動きをするとクラッとするそうで
今日も大人しくベッドで過ごした。
以前に無理をして
よっぽど酷い目に遭ったのでしょうねぇと、
胃の不調の時に初めて会った家政師も
大層安心しながら
安心した分だけ深く同情もしていた。
そういえばと、
兎小人には何か義務付けられていないのでしょかねと
訊くともなしに訊いたら、
十歳と三十歳と五十歳からは毎年
健康診断と何らかのワクチンがあると
家政師はさらりと教えてくれた。
調べもせずにこの場で答えられるなんて
思ってもいなかったので
トゥは目が真ん丸になった。
ご縁のできたご家族に役立ちそうな事は
手あたり次第調べるんですよと
敏腕家政師は優しい顔で笑った。
苦痛緩和魔法を連続で使っていた疲れが
抜けてない事を察していた
敏腕すぎる家政師は今日、
魔力補充に効果的な
超貴重な龍の涙も持ってきていた。
本当は断然入手しやすい
魔猪や魔蜘蛛の肉を食べれば済むのだけれど、
ヒト化してもトゥは苦手で、
初日に出されたけれど食べられなくて
ランのお皿に投げたのを見逃してなかったよう。
ちなみに、
龍の涙は売ってる物ではなくて
龍・竜種の人に頼んで分けてもらう物。
修業時代のトゥは手土産を持って行って
あくびを待ったり
トゥの失敗談を話したりした。
嫌われてしまうと
その一族全員頼めなくなってしまうので
ものすごく神経も遣う。
トゥがお世話になった竜の人は
話す本人の失敗談で涙が出たけれど、
家政師のお世話になった龍の人は
百面相を披露すると十面相目くらいで涙を出すのだそう。
色んな人がいるものですねー。
マリエラセス暦3903年6月1日白曜日24時2分。
#ラン・リエルロイスと兎小人 #日記 #イラスト #小説
#ファンタジー #一次創作 #プラトニック
#Cmon諭 #嘉又夢了 #環を持つ土塊の星 #711号室
宜しければサポートの程、お願い申し上げます。 頂戴したサポートは、 闘病生活と創作活動に充てさせていただきます。 スペインはグラナダへの長期取材を夢見ております。