319.20221026：竹晴の回：準備着々
試作と試食の結果、
黒のイカ墨は味が「有り寄りの無し」という事で
竹炭で再試作。
ミルクと混ぜると
良い感じの不透明の黒になったが、
どうしても俺が奇をてらいたいと言ったら、
唐辛子を漬けた蒸留酒をほんの少し足すかと
ハイドが提案してくれて、
甘温かい不思議な飴ができた。
他は順当な味に仕上がった。
夕静とハイ君も飴作りには、
秘技生焼けとか奥義煮過ぎとか
変なスキルが発動しなくて良かった。
それどころか、
意外な才能を発揮してくれて、
飴は型抜きのただのシルエットの予定が顔付きになった。
これなら華やかなプチ・ケーキにも負けないだろう。
甘さは……
甘いもの好きにはちょっと足りないかもしれない。
試食を重ねる内にどんどん甘味料の量が削られたからだ。
ま、ケーキがその辺りは補完してくれるか。
仮装も決まった。
一番簡単なのはシーツに目の穴を開けて
頭からかぶってゴーストだそうだけど、
これは事故が起きた時の保険にする事になった。
しゃれこうべメイクと
黒のボディタイツに骨を白で描いて骸骨というのが
面白そうだけど難易度高いなぁとかぼやいた後、
ハイ君は見事
環を持つ土塊の星に売ってるのを見つけると、
急遽C'mon諭へ極秘連絡して
ご先祖と一緒に界狭間を抜けて買いに行った。
向こうでは様々な仮装衣装が売っていたからと、
四種類買ってきてくれた。
骸骨用の蛍光塗料で骨の描かれたボディスーツ。
折れ曲がる程に長くて尖ったクラウンの大きなブリムの帽子と
マントと箒をセットで魔女用。
いかつい顔色の悪い頭の被り物と
つぎはぎとボルトを全身に貼って人造ヒューマン用。
蜘蛛の巣の描かれたマントと
綿の詰まった六本の足が生えたベルトで蜘蛛用。
俺は蜘蛛に飛びついたよ。
フレデリックは人造ヒューマン、
ハイ君が骸骨で、ユーが魔女。
明日はメイクの練習だ。
充実した休暇だなぁ！
マリエラセス暦４０４４年１１月１６日紫曜日２２：５２。
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