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20220428:ランの回:トゥの師匠

ラン

今日はリエーブレと三人でキッシュを4種類作った。
キノコとほうれん草と豆とニンジン。
ベーコンの代わりはやっぱり燻製魚。
ラードンの代わりはピーナッツバター
(このせいでちょっと違う仕上がりになっている)。
魔蜘蛛の肉とか魔猪の肉と脂身とかも結構イケるんだけど
兎小人には絶対にウケないから黙っといた。
魔蜘蛛は蜘蛛の形してるけど、
流石肉食って感じの良い筋肉が殻の中にあるんだよね。
そう、蟹みたいに。

キッシュの生地を捏ねながら、
おちびの師匠ってどんな人だったのか訊いた。

「師匠は……
うーーーーーーん……」

おちびは質問に答えられない時は
「あ、それは内緒です」とかサクッと言うから、
リエーブレもランも言葉が続くのを辛抱強く待ったよ。

「師匠は……
うん、二世小人で……
二世兎小人で、
うん、
なかなかワルイ・・・人でしたねえ。
もう死んでしまってるから
時効扱いでしょうけど、
生きてたら後9年は話せないような事をたくさんしてたです。
世界で二三・・を争う腕前の魔法遣いだと豪語してたけど、
黒魔術師より悪かったんじゃないかと思うです。
基本的に泥棒だったです。
物も時間も労力も能力も、
盗めるものは何でも盗んでたです」

「わぁ、どうやって知り合ったんですか?」ってリエーブレ。
気になるよね。
努力する事を全然嫌がらないおちびとは
接点が無さそうだもんねぇ。

「トゥの高等魔法教室の卒業式に来てたんです。
弟子を探しに。
卒業生だったから入れたようで。
教師の表情も柔らかかったから、
まさかあんなワルイ人だとは誰も思いもしなくて
トゥと7人が弟子に立候補したです」

「そしてマクモの巣を狩る試験で
トゥが一等だった訳ですね!」ってリエーブレ。
目をキラキラ輝かせちゃって。

「その通りです。
まー……
最初から最後まで良い経験になったですよ。
続きは明日ですね」っておちび。
包丁を使う段階にきたからね。

いやー、意外だったわ。
きちきちっとした真面目な
おちびと似た感じの
お師匠様だったんじゃないかなって思ってたからね。
明日も楽しみ!

マリエラセス暦3903年5月3日せき曜日24時31分。


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