693.20231102：真弓の回：全ての死者の日
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久幸と凌司のお話
話中の万禮一家は、 メンバーシップ「夢了の皿」会員の万禮様のオリジナル・キャラクターで 設定その他は会員様御本人と話し合っております。
７１１号室出演者≒メンバーシップ会員様は常時募集中です♡
万禮様の偶さか日記も併せてお読みいただくと解像度とエモさが跳満です。
711号室
主な登場人物
トゥ、師匠、おちび：ランの伴侶小人。久幸の友人。凌司の魔術の師。
泰市：ランとトゥの伴侶猫。猫獣人に進化しつつある。
武長華代：凌司と前妻の子。幼少時に凌司の母の養子となった。
香坂パトリシア真弓：華代のバンパイアにおける始祖。久幸の厚意で禁錮刑から減刑され圭家に仕えている。
下段左からサンタ：ねこのぬいぐるみだがトゥの魔法で限定的に猫になる。
スュクセ、すゅー：トゥの特別な遣い魔。個性と向学心がある。
真由：華代の後天性加護精霊。トゥから贈られたカーボナードの精霊だが人形の中と華代の差し歯にいる。
五号：バンパイア協会から真弓と華代のお目付け役として遣わされた遣い魔。
本編
大っぴらに名指しせずに
死者を悼む機会があるというのは
有り難い事です。
入信しなくても他の星でも
死者に想いを届けてくれるというのも
実に有り難い事です。
他人を死なせてしまった者にとっては特に。
バンパイア協会を通して提携企業に
私が死なせてしまった人の
毎月命日の前日に
墓所の掃除を依頼していたのですが、
遺族がコロナ禍に九死に一生を得て
新しい考えに至って
先月とうとう墓仕舞いしたそうで。
死は二度訪れるといって、
一度目の死は肉体の死、
二度目の死は存在の死、
故人を誰一人思い出さなくなったら
その人は真に亡くなってしまうのだという
考え方があります。
存在の死を迎えると、
復活の日が訪れても復活できなかったり
愛する者を看護る力を失ったり
次に生まれ変われなかったりと、
信じる人によって
様々な哀しい弊害が起こるので、
故人の記憶は受け継いで
語り継いでゆくべきものであるという教えでした。
故人の記憶を語り継ぐのはなかなか難しい事です。
墓があれば法事が営まれ、
ちかしい人達に強制的にでも機会が与えられたのに。
私は己を戒める機会が減ってしまうような
気になっていたのですが、
盆暮れにハロウィンと死者の日を加えて、
彼の人を悼み
己の楔を打ち直す日とする事を決心しました。
次なる生に幸在らん事を。
マリエラセス暦３９０４年１２月１１日緑曜日２１時４１分
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