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20220425:トゥの回:貧乏の思い出
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不意にお金が無かった頃を思い出した。
山の民の人が餞別をたくさん持たせてくれたけれど、
新しい住処へ山で採れた食物を送ってくれたけれど、
ずーっと暮らせる訳は無く。
船が泊まるような土地では、
不法入国者(だと思い込んでいた)が紛れて暮らすには便利でも、
時間が掛かっても字が読めて
ちょっとだけ魔法が遣える程度の小人では
仕事が無い事に気付いた。
勉強してスキルアップしなければ
気に入った場所で生きられないと気付いた頃には、
二年半分の生活費しか残ってなかった。
どれだけ勉強したら仕事があるレベルになれるのか
皆目見当が付かなくて、
勉強に必要な物を買う勇気は出せなかったから
毎日図書館で
小さな声で音読して脳みそに叩き込んだ。
ノートに書き写そうにも
ノートとペンやインクを買えなかったから。
小人の忍び声なんか獣人やヒューマンには聞こえないから
叱られて追い出される事がなかったのは幸いだった。
図書館は、
静かで、
誰もが誰にも興味を持たないし、
出入口に井戸があって
飲み水には困らなかったし、
食べ物の匂いがしないから
空腹を刺激される事も無くて大好きだった。
休館日に家に居ると、
食事時にはどこからともなく美味しそうな匂いが漂ってきたから
一日一食で日数を稼ごうと思っていた身には堪えた。
はぁああ、今は何て幸福なんだろう。
マリエラセス暦3903年4月28日黒曜日24時26分。
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