▷▷何者にも成れないわたしのこと
美しい顔をした恋人と水に囲まれた街に住み始めて丸3か月が経った
最初の2週間、同じ家に住みながら「この人、早く帰ってくれないかな」と呪詛の言葉を呟きながら過ごした、あの地獄の14日間
段々とわたしが彼の衛生観念の低さ、および炭酸水やミネラルウォーター、ドレッシング等のキャップ類をどうしてもしっかり締められないだらしのなさを許容し、彼がわたしの、時折起きる癇癪や、夜中に感情が高ぶり泣き出す奇行に諦めやかすかな失望を持ち生活が落ち着いてきた
2人とも世間の言う結婚適齢期のゴールデンタイムであるにも関わらず、将来の指切りを全くせずに始めたこの暮らしは、多くの先輩諸君を心配にさせ続いている(「えっ結婚のタイムリミットを決めていないの…?それって大丈夫…?」)
1年ほど前に「結婚したい欲」のピークを迎え、その欲求を渾身の力で彼氏にぶつけた前科のあるわたしは、仕事や自分のしたいことをしたいように行い、自己の成長を第一優先事項にしている彼の「一緒に住む?」というただそのひとことに舞い上がり、「じゃあ結婚して。せめて2年後には」という風に詰めることをすっかり失念した
一緒に暮らすと決めたのだから、これから先の人生は一緒の墓に入るか、決別し永遠に他人として生きるしかないのだが、
目的意識や日々の向上心をなく過ごしている自分と、向上心の塊である恋人を比べ巨大なコンプレックスを持っている為、なかなか強気に出れない
せめて自分の居場所を守りたくて、恋人にずっと必要とされたくて毎日食事をせっせと作っている
恋人がいなくても生活ができるくらい自立したい
そうしたら 彼に認めてもらえたら その時はずっと一緒に暮らしたい
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