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2003年のアジアン・カンフー・ジェネレーション

1996年に大学の軽音サークルで結成されたアジカンは、大学卒業後メンバー全員が会社員として働きながらバンド活動を続けていく。(その後、一人また一人と会社を辞めていくことになる。)
ライブハウスでコンスタントに20人くらいの観客が呼べるようになったのは、メジャーデビューが決まる頃であったという。

初の正式音源である1stミニアルバム『崩壊アンプリファー』がキューンレコードから再リリースされ、メジャーデビューを果たすのが2003年4月23日。少なくとも2002年が終わるまで、アジカンは無名の時代を過ごしたことになる。

その間、同世代のくるりは音楽シーンにその才能を知らしめ、BUMP OF CHICKENは『天体観測』をリリースし、既に誰もが憧れる存在となっていた。

2003年の始め、アジカンは今まで通り下北沢を中心にライブ活動を続け、それから少しずつ浮上していくことになる。今となって2003年のライブ履歴を見返した時、最初に目に留まるのは3月28日のライブだ。

3月28日 LIVE SQUARE 2nd LINE
w/ストレイテナー、テルスター、レミオロメン、SUMMER RHYME

ストレイテナーやレミオロメンも、このときまだメジャーデビューをしていない。

4月から5月にかけては後に頭角を現すバンドとの共演が増え始め、上記の2バンドや、つばき、LOST IN TIME、THE BACK HORN、LUNKHEAD、Base Ball Bear、ART-SCHOOLといった面々と対バンがあり、5月29日には下北沢シェルターで初のワンマンライブを行う。

6月から8月の間には、SPARTA LOCALS、椿屋四重奏、GRAPEVINE、MO'SOME TONEBENDERとも対バンを行っている。
また、7月にルーキー枠でフジロックに出演。8月にはサマソニに出演する。

そして、後の盟友2バンドとアジカンが同じ舞台に立つ日が来る。

9月7日 札幌Bessie Hall "BRING YOUR BOARD!!"
w/ELLEGARDEN、ストレイテナー、BAZRA

10月28日 SENDAI JUNK BOX "NANA-IRO ELECTRIC TOUR"
w/ストレイテナー、ELLEGARDEN

10月から11月にかけてのNANA-IRO ELECTRIC TOURではストレイテナーとともに各地を回り、先述のエルレガーデンや、the pillows、POLYSICSなどと共演を果たす。

11月12日にはメジャーデビュー前のフジファブリックと、11月15日にはACID MAN、ART-SCHOOL、THE BACK HORNと対バンを行う。

1stフルアルバムのリリース日が近づいてくる。
8月6日に1stシングル『未来の破片』、10月16日に2ndシングル『君という花』をリリースし、メディアに取り上げられることが増えてきたアジカンであったが、この時点ではそれほど騒がれていたわけではない。

日本の音楽シーンを牽引していく存在となることを期待され、主要な音楽誌に将来を嘱望されていたのはレミオロメンだった。そのレミオロメンのメジャー1stフルアルバム『朝顔』のリリース日は11月19日。奇しくもアジカンのアルバムリリース日と同日であった。

そして、11月19日。無名のままで終わるのか、それとも先があるのか。誰にも分からなかった時代の思いが刻印された1stフルアルバム『君繋ファイブエム』がリリースされる。

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