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若者が服作りでメシが食えればいい、それが美しい地球につながる

1980年 20代の頃、何を想ったのか
誰も 着ていない服を作りたいと
からだに 布を巻き付け
あ〜でもない、こ〜でもない
そうして、創造力が 膨らんだ気がします。

いま社会に必要なのは、情報を集めることより
自分で考え行動してみることです。
そこから、達成したいイメージが想像でき
新たな価値が、生まれてきます。

人を批判しても、何も変わりません。
大切なのは、心をウキウキさせる行動
私は心に、そう言い聞かせています。

エネルギーは入りますが、
小さな幸せを見つける、私の習慣です。


1860年 グローバルな資本主義が動きだす。
この言葉から、私たちの産業が生まれました。

綿花から糸を紡ぎ、布を織る。
農民の手から卸売人の手に渡り
それが、世界各地の市場とつながる。

イギリス、大陸ヨーロッパ、アメリカ、中国、インド、
南米、アフリカへ、広範囲のビジネスになりました。

1枚の布が織られるまでに
どれだけの汗が染み込んでいるか
その産業構造は、当時から何も変わっていません。

消費者から、遠い工場ほど汚れています。
それは何故だと思いますか。
肉体労働に価値がないと言うことですか。

私たちも機械のように働き、報酬を得てきましたが
次代も、たくさん服が必要ですか、私は・・・
世界の人口に見合った服が、あれば良いと思えます。


いまでも優良企業は、低価格でも必ず生き残る、
経営者層は、そう断言しますが、
その競争は必要ですか。

私は、ファッション産業を批判する気もないし
大層なことを言いたい訳ではございません。

ファッションの好きな若者が
服を作り、それでメシが食えるようになれば良い
それだけのことです。

無論、大企業でなければできないこと、
その価値は、たくさんございますが
小さなアトリエで服が作られ、お客さまに届く
そのメリットの方が、次代は大きいと思えます。

私がファッションに魅力を感じるのは
流行の服を纏いたい訳ではありません。

私は、いつも同じスタイルですが
シンプルな生き方に、服が馴染んでいます。

朝、アイロンを掛け
今日も頼む、そんな会話から始まります。

服を作る価値は、長く愛用できるようにすること
私は、そこに意義があるような気がします。

残りの人生、ファッションは そんな存在です。
2023年6月25日 南風月・ 暑い日本にて、水谷勝範


ここからは、読まれても面白くない内容になります。

Fashion Creator magazine vol.10

今回は、アパレル生産の可能性という視点からご案内します。

519. ファッションテックの進展

ファッションテック(Fashion Tech)とは、ファッション(Fashion)とIT(情報技術)を意味するテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語となります。EC(電子商取引)サイトによる販売が象徴的ですが、インスタグラムやフェイスブック、ツイッターなどSNSなどによるコミュニケーションを含め、市場との多様な接点開発が模索されています。2010年代以降からAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を活用したアパレル商品の開発・生産や物流システムの構築なども活発になりました。

520. オムニチャネル化とデジタルSPA

ファッションテック進展の背景には、量を前提とするアパレル商品の生産・流通構造が個別化する市場のウォンツやニーズに対応しきれなくなっている状況、それゆえの過剰在庫、その処分方法としての廃棄や焼却などによる環境汚染などがあります。独自性や創造性に富みながら、環境に負荷をかけず、無駄のない効率化されたサプライチェーンのあり方が求められる一方、消費者のネット購買が一般化した中で実店舗だけではないシームレスな購買体験を提供するオムニチャネル化の観点から、デジタル活用が進んでいきます。


521. 服の廃棄と環境問題

ファッションビジネス業界が地球環境にもたらす様々な影響について指摘されております。長らく解決への具体的な取り組みがなく、本腰を入れるきっかけとなったのが2013年にバングラデシュで起きた縫製工場の崩落事故でした。劣悪な労働環境が再三指摘されていましたが改善せず、1100人を超える命が奪われ、2500人以上が負傷する大惨事となりました。生産を依頼していたのが著名ブランドであったことから、世界的に報道されました。2018年にはスウェーデンのH&M、英国のバーバリーが膨大な在庫を焼却処分していることも判明し、世界から批判を浴びるとともに、ファッションビジネス業界の構造的な問題が明るみにされました。

世界のファッションビジネス業界では2017年時点で年間9200万トンもの繊維製品が廃棄され、このままでは2030年には1億4800万トンに膨れ上がると予測されています。日本ではどうか。年間で売れ残る商品は約14億点、これに対して市場への供給量は1990年の約20億点からピークの2013年には約40億点へと倍増し、現在は約38億点となっています。赤ちゃんや高齢者を含む人口1億2000万人に対して、1人当たり約30点の消費が必要になります。大量に売れ残ることは自明と言えます。正価で売れ残ればセールやアウトレットなどで値下げ販売となりますが、それでも残ったものは在庫処分業者(バッタ屋)に流れます。廃棄ゼロを目指してリセールする業者も現れ、廃棄される服を繊維に戻して新たな服を作るマテリアルリサイクルも生まれるなどの取り組みも広がっていますが、まだまだ十分に補完できていない状況にあります。

日本のファッション市場規模は約10兆円ですが、生産された商品の約3分の1が処分されています。その生産地はほとんどが海外となります。数量ベースの輸入浸透率は、1990年には48.5%でしたが、2017年には97.6%にまで高まっています。海外生産の増加はOEMやODMの増加と比例します。アパレル企業から生産ないしは設計・生産を委託された商社が主に請け負っています。市場の多様化とシビアになった価格意識への対応から、カジュアル化、低価格化が進みました。生産も多品種小ロットになり、さらに売れ筋をつかんでからの期近・期中生産が一般化、そのコストを低減するため生産地は賃金の低い国・地域へとシフトしていきました。


522. 進むデジタル活用

1990年を起点とすれば供給量は倍増しましたが、建値(正価)消化率は50%以下になり、セール後の最終消化率は50%程度と言われます。過剰な在庫は保管費用や税金などの負担を増やし、経営を圧迫します。また廃棄・焼却すれば環境に負荷をかけ、社会的信用を低下させることになります。その解決方法として、アパレル企業や小売業では近年、デジタル技術の活用が進みました。

実店舗だけの販売チャネル(シングルチャネル)から、パソコンやカタログ通販などを加え、それぞれのチャネルを使うマスに販売するマルチチャネルへ、さらにこれら複数のチャネルを使って1人の消費者に販売するクロスチャネルも見られるようになりました。

現在は実店舗、パソコン、スマートフォン、タブレットなどあらゆるチャネルで個客とシームレスにつながり、どのチャネルからブランドにアクセスしても同じ購入体験を得られるオムニチャネル化が進められています。ブランドの商品構成や在庫はもとより、接客履歴、個客の実店舗やECでの購買履歴など様々な情報をデータベース化し、統合管理するシステムを構築すれば、個客に応じた一貫性のある商品・サービスの提供が可能になります。

このような小売りを中心としたオムニチャネルで得た情報を生かし、マーチャンダイジングの精度を高めていくことが次なる課題となります。これを促すソフトとしてファッションテックはあります。日本ではOEM・ODMへの依存からアパレル企業の生産・管理力が弱まっていますが、欧米では早くから生産・管理へのデジタル活用が進められてきました。PLM(製品ライフサイクル管理)が開発・導入され、商品の企画、設計、生産はもとより、出荷後のサポートやメンテナンス、生産・販売の打ち切りまで全プロセスを包括的に管理しています。3D技術によりサンプル製作を簡略化したり、縫製仕様のデータをCAD・CAMに直送することで生産工程を効率化したりすることもできるようになっています。個客のデータベースを起点にデジタル技術で企画・設計・生産・販売が連携するデジタルSPAと言えます。

また、物流や在庫の管理では、すでにRFID(ICタグ)が各アパレル企業に導入され、成果を上げています。専用機器を持って倉庫や店舗内を歩くだけで棚卸しが完了し、かごや箱に入った複数の商品を一瞬で読み取り、レジでの精算や入出荷作業を効率化できます。


523. アパレル関連企業の連携

非常に利便性が高く、さらに進化すれば良いことづくめに思われるデジタル技術ですが、その活用には大きな壁も存在します。1つは導入コストの高さ、2つ目は基幹システムの変更・改修あるいは入れ替えが必要で、これにも相応の投資を要すること、3つ目としてシステム運用に社内の意識改革を伴うことが挙げられます。

このような導入・運用の困難さから、すでに活用している一部のアパレル大手では、自社のシステムをプラットフォームとして他社が活用できるようにしています。大手同志が業務提携して投資効率を高める動きも見られます。

さらに、OEM・ODMの受け皿であった商社も、デジタルプラットフォーマー戦略を掲げています。自社にデジタルプラットフォームを設け、取引先に活用してもらう取り組みもあり、システムの利用料を新たな収入源としていく戦略になります。

デジタル化戦略は経済産業省などの行政も推進していますが、政府が現在、掲げているデジタル化戦略が「コネクテッド・インダストリー(コネイン)」です。物作りの現場に蓄積されたデータをIoTによって連携させ、商品やサービスの向上につなげていく戦略です。

これまでマンパワーに頼りがちだったアパレルの生産と販売にデジタル技術を活用し、ロスや無駄をなくしていくことで不要な在庫を抑え、持続可能な産業への道が開けつつありますが、システムを適正に生かしていくためにも産業としての明確なビジョンを描き、従来のビジネス思考を見直すことも必要です。


524. 個客満足への生産の最適化

ファッションテックの進展と個客化する市場ニーズが交錯するところにパーソナライズなアパレル生産があります。これまで1人のお客様の満足を実現する服作りは生地選びや採寸、仮縫い、試着など様々なプロセスを経て、時間をかけて行われました。そのプロセスをデジタルに置き換え、企画・設計・生産・販売を一気通貫で機能させることにより、1枚生産によるパーソナル対応が可能になり、従来のオーダーメイドやカスタマイズをよりリーズナブルに提供するアパレル企業の新業態が生まれてきます。


525. 進化するオーダーメイド

オーダーメインドはいわゆる注文服で、テーラーが採寸し、顧客が選んだ生地で服を作り提供します。服が売れる時代になると、身体の数カ所を採寸して各パーツの寸法を割り出し、これを分類した標準サイズが用いられるようになりました。しかしファッション消費が成熟する過程で、標準サイズでは身体に合わないと感じる人たちが増えていきました。前述したように、大量生産が大量の廃棄を生んでいる状況もあり、そこで改めて注目されているのが、オーダーメイになります。

オーダーメイドの本質は、個客に寄り添い、その価値観を反映する服作りです。日本でも最近ではオーダーメイド需要が増え、参入する企業が増えており、これまでのオーダーメイドよりも手軽な価格が特徴です。ただ、低価格で提供するには商品企画からの一貫した生産システムを確立し、利益を出し続けなければなりません。人口が減少に向かい、所得格差も広がる日本で、オーダーメイドの良さは認められても、シェアを獲得するには価格競争をせざるを得ません。デザインが良くても、生産工場が対応可能な縫製仕様に留めてコストを下げるといった対応では、支持を広げることは難しいでしょう。

新たなオーダーメイドで重要なことは、従来とは違う道を進むことです。顧客の価値観や体型バランスに合わせて商品の企画・設計データを作成し、工場と連携して生産することになります。企画業務をどれだけデータベース化できるかが課題ですが、このデジタル情報からCAD・CAMへの連携、多能工による少人数体制が整備できれば、1枚生産が可能になります。

例えば、オンワードパーソナルスタイルは2017年、オーダー事業「カシヤマ ザ・スマートテーラー」をスタートさせました。来店、来訪、オンラインのいずれかで採寸や生地選びなどができ、専門のスタッフが対応します。オンワードグループが蓄積してきた160超のサイズ展開でパーソナルスタイルを提供します。納期も、一般的なオーダースーツ専門店は生産能力の限られた国内工場を活用しているため1~2カ月待ちになりますが、同業態では自社工場の受注・準備工程のデジタル化と生産背景の見直し、工場からの直接発送で最短1週間の対応になります。2着目以降は採寸なしでECサイトでの購入が可能で、3万~5万円とリーズナブルな価格も受けています。2020年にはゾゾタウンと協業したオーダーメイド事業を開始しました。ゾゾが展開するゾゾスーツで収集された膨大なボディデータと合わせ、さらに幅広いサイズ対応を実現し、オンラインで完結できる仕組みを採っています。

※ゾゾスーツ:顧客の体型サイズを正確に計測するためにゾゾが開発した採寸用ボディスーツ。


525. 新たなカスタマイズ生産

カスタマイズとは一般に、1つのデザインをお客様が望む仕様やサイズにアレンジすることを指します。これは生産の自動化により実現できますが、しかし単なる自動化では、部分的に違う服しか作れません。服作りは本来、注文服に象徴されるように、ペルソナ(1人のお客様)に寄り添うことが前提になります。従来のカスタマイズよりも個客に寄り添い、新たな付加価値を生み出す服作りの仕組みとしてカスタマイズ生産はあります。


526. カスタマイズ生産のプロセス

カスタマイズ生産の提案はウェブが起点となります。デザインイメージマップ、デザイン展開、素材構成をデータとして作成・公開し、オンラインでプレゼンテーションします。生産に関わるデータは下記の通り。各種データはA4横(210×297mm)のPDF印刷規格に統一します。

・デザイン……情報連携フォーマット(デザイン・企画から生産現場までの情報交換書式)

・素材……素材情報の発信と素材の在庫管理(デジタル画像で連携する書式)

・2D・3Dデータベースファイル……企画から生産、出荷に至るまでの進捗状況(2D・3Dデータはデザイン共通番号で管理)

・縫製手順……サンプル作成時の縫製手順の分析データ

・工程分析……量産用の工程分析データ

・商品仕様……商品仕様のデータベース

・商品企画……商い品企画の指示詳細一式

・縫製仕様……縫製仕様図の解説データ(商品仕様をデータベースから集約して添付)

・縫製留意点……各縫製工程の留意点

・加工留意点……商品企画から生産に至るまでの業務に関する留意点

これらのデータを連携させて生産を進めていきますが、業務プロセスは次のようになります(小売店のお客様にアパレル企業がカスタマイズ生産を提案する場合)。


①マスター原型の作成

アパレル企業は顧客のデータベースからシルエット原型を選択し、2Dマスター原型を作成して登録する。各デザインに商品仕様の分析結果を関連づけ、企画データに生地と原価の分析結果を登録する。商品設計の段階で商品仕様を実現する各工程の作業を分析し、この結果に基づいて3段階程度の販売価格を想定して登録する。


②3Dトワルのマスター作成

アパレル企業は3Dデータベースからシルエット原型を選択し、これをもとに2Dパターンを調整して3Dデザインに反映させ、データとして登録する。クライアント(小売店)はデザインバリエーションや体型別の調整方法などのビジュアルデータをお客様に見せ、カスタマイズの提案を行う。お客様のボディ寸法を反映してカスタマイズした服のデザインイメージを提示する。ここまでのプロセスを円滑に進められるよう、デザインに始まるすべての情報を関連づけ、誰が見ても分かるシンプルなデータベースを構築することがポイントである。


③デジタルプレゼンテーション

クライアントからサンプル作成の依頼を受ける。生地と商品仕様から製造コストを算出し、お客様に提案する価格(複数)を設定する。


④生産計画

デザイン提案からサンプル製作に至るまでの進捗状況はクライアントと共有し、サンプル用の資材手配から縫製までは自動発注となる。商品は、ウェブ公開された素材企画とデザインバリエーションから顧客が選んだ生地と商品デザインを組み合わせるオーダー限定生産となる。


⑤3Dデザインのカスタマイズ

デザインイメージを3D画像上でカスタマイズできるよう、データベースからデザインマスターを抽出する。次に、素材特性に応じてA・B・Cの3つのシルエットをカスタマイズした仕様や各パーツの企画をデータベースに登録する。カスタマイズに必要なデータは、2Dパターンと3Dデザインが同期しているため、3Dデザインをもとに構築する。


⑥体型とデザインバランスの分析

最も重要になるのがお客様の体型分析である。採寸したデータだけに捉われず、着心地を考慮する。このときに活用するのが年齢区分である。年齢に応じた上半身の運動量に配慮する。また、デザインバランスを考慮した3D体型を提案することによって、お客様が希望するデザインを把握する。


⑦2Dパターンの設計

襟、袖、ポケットなどの2Dパターンの組み合わせを設計する。ネックラインやアームホールなどは、体型データに基づいてA・B・Cといったように規格寸法を設定しておく。袖山は素材特性の数値に応じて、いせ込み分量を判断する。


⑧個客対応、イメージ分析

お客様のデジタル画像を活用してバーチャルフィッティングを行い、多角的にデザインイメージを提案し、お客様の納得を得て生産に入る。店舗に納品された商品をお客様が試着した後には、着心地に関する情報を収集し、改良の余地があれば2Dパターンに反映する。この段階では、デザイナー、モデリスト、接客スタッフまで統一されたフィッティング用語を共有していることが重要になる。すべての感覚を数値化し、共通認識としておく。


527. スマートサプライチェーンへ

次代に想定されるファッションビジネス業界のあり方は、個客が自分のデザインで服を注文できる世界ではないだろうか。このような個別ニーズへの対応を含む受注生産は、すでに企画・設計システムで可能になっています。量産の最適化を進めながら、スマートサプライチェーンを築いていくこと、その仕組みを着実に機能させられる人材の育成が課題となります。


528. 期待される3Dモデリスト

新たなオーダーメイドもカスタマイズ生産も、デジタル技術をベースにしたパーソナル対応による服作りであり、ファッションテックの流れにあります。現在は2D-CADのパターンを3Dでモデリング(立体形状化)して確認・修正することができます。この3Dモデリングシステムにより、量産前のサンプル製作がなくなり、本生産する前にデザインや体型に応じた着用イメージを確認できるため、生産量が読め、余剰在庫を生まない。またカタログやEC向けの画像も作成できるため、受注生産も可能になります。

このような技術進化に伴い求められるようになっているのが、システムを運用してデザインを服に変換する3Dモデリストになります。3Dモデリングで服をデザインするファッションテックデザイナーも現れています。パターンや縫製仕様に通じている必要があるため、パタンナーやデザイナーは3Dモデリストに最も近いポジションにあると言えます。

日本ではまだモデリストが少ない状態にありますが、同様の知識とスキルを備え、システムを駆使してデザインのモデリングや生産との連携などを担える存在は貴重です。この職種を育成するカリキュラムを設ける専門学校も増えつつあり、3Dモデリングシステムの導入は大手の商社やアパレル企業から進んでいます。先行したファーストリテイリングは、設計段階の高度な検証や生産現場との連携、プレゼンテーションまで行える職種を「ファッション3Dモデリスト」と呼び、2019年から募集を始めました。

3Dデザインした服を縫製するのではなく、印刷して作り上げる3Dプリンターも進化を続けています。自由に立体的な形状を作れ、体型に合わせたカスタマイズもできます。まだ使用できる繊維素材が限られていますが、様々なブランドがコレクションで3Dプリンターによる作品を発表し、注目を高めています。


529. 次代のアパレル生産とCSR

スーツやシャツは現在、広義のオーダー市場が広がる傾向にあります。企画から設計、裁断まで自動化が可能になっており、課題は生産現場のシステム化です。例えば1000枚のシャツを1000型、1000人に届けるシステムがあれば、新たなオーダー市場の可能性が拓かれる。量産のアパレル企業も、自社ブランドでオーダーメイドへと市場を導いていくことで、顧客とともに新たなブランド価値を創出していけるのではないでしょうか。

ブランド価値は顧客のロイヤルティーはもとより、社会的な信用・信頼によって成り立っています。市場を正しい方向へ導いていく姿勢と同時に、世界の共通認識であるCSR(企業の社会的責任)を遵守する行動が問われてもいます。

CSRは一般に、次の3つであると認識されています。

①働く人の労働環境に遵守し、地域作りに協力する

②環境や資源に配慮する

③利益の一部を世の中に還元する

アパレル生産は多くの加工企業に支えられていますが、そこで働く人たちの労働環境や地球の自然環境に悪影響を及ばさない取り組みは、今や必須です。労働賃金、労働時間、児童労働、人体および環境を害する薬品の使用など、これらの課題に向き合い、信頼関係を築いていくことが業務運営の土台になっていきます。

国際的な活動についても、次の7項目が提唱されている(ISO26000「7つの中核主題」)。

①組織統治……組織運営が民主的であり、意思決定の公平性が大切である

②人権……人間の尊厳が損なわれない労働環境が大切である

③労働慣行……採用、昇進、報酬などの労働条件や就業規則が明確であること

④環境……自然環境が損なわれないように業務を運営していく

⑤公正な事業慣行……倫理に反する贈収賄のない運営が必要

⑥消費者課題……消費者に製品の安全を保障する管理体制が大切である

⑦コミュニティーへの参画及びコミュニティーの発展……地域自治体の活動への参加、職場体験の提供、雇用の創出など

このようなことを常に認識し、新たな価値を創り出せるのは人間の力です。ファッションビジネスでは最新の情報やスキルの吸収は必要ですが、それらが生まれた歴史的文脈や社会の変化を知り、その中で服を作り提供することの意味を自らに問いかけ、正しい行動がとれる人間力を養っていただきたいと願います。


530. 若者がファッション産業に夢が抱けるよう願う

ここまでが進化してきたファッション産業プロセスのご案内となりますが、ファッションビジネスの捉え方は戦後から何も変わっていません。弱いものが低賃金で働く産業構造です。

在庫を持たないオーダーメイドの取り組みは、新たなビジネス展開に見えますが、今までの経営思考で若者を育成することは不可能です。その意味は、次代のファッション企業として、消費者からビジョンすら見えないからです。モノ創り企業は、次代のファッション産業に必要ですか、そこから考える必要がございます。


ここまで1番から530番にて、ファッション産業のプロセスとして一つの区切りとします。

読んで面白くない内容でしたが、プロセスを知っていただく事に意味がございます。企業価値を決めるのは消費者の皆さまです。

<いま私が想うこと>

ファッションの学校へ通って見える方は
モノ創り産業の構造を知ることが必要です。

学校で学びますが、活用することはできません。
そこに何が必要と思いますか。
情報を得ることよりも、行動する勇気です。

私たちのファッション産業が変わるには、
30代、40代の方に変革する勇気が必要です。

それは、ファッションの好きな方でなければ
できない改革であり、ビジネス優先ではできません。

ファッション産業は、労働集約産業と言われてきましたが
人々は、どんな価値を得ましたか
若者に人気がないのは、何故だと思いますか

いま若者は、ビジョンを描く勇気を持っています。
働きがいがあり、どんな人生にしたいか、
私たちが、その夢をサポートする出番です。

今までのように利益を追求するビジセス思考で
次代に必要な魅力は、創造できません。

そんな考えで、ビジネスとして成功するのか
そう言われる方もみえますが
人間は、自分の心を弾ませる行動が必要です。

そこから、新しい価値が創造できると
私は考えております。

ここまで拝読いただき、ありがとうございます。
6月も無事に投稿できましたこと感謝いたします。

世界の人々も行動に移り、嬉しい限りですが
ミャンマーを始め、ウクライナの方々
世界で苦しんでいる方々を忘れないでほしい。

地球は、みんな家族であるべき
ささやかな願いですが、私の生き方です。

いつも皆様のnote 読ませていただき感謝しております。
水谷勝範

Webからファッションを創る、それが私たちのプロジェクトです。服作りとはいえ、私たちが大切にしていることは、お互い共存し成長できる社会になることです。皆さまとの出会いを愉しみにしております。水谷勝範