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ファッションビジネスの構造 / Fashion Creator note magazine vol.2

はじめに
私が若者へ伝えたいことは、自分で考え行動する勇気です。ビジネス上で必要なことは独学で解決できます。要するに好きなことならば、とことん深く掘り下げ考えることができます。実践しながら育まれる創造力が、次世代は鍵になります。
そしてもう一つ大切なことは、常に行動する目的を明確にすることです。服創りで例えますと、作業効率を重視する大量生産の企画、素材特性を活かした製品企画、デザイナー思想を表現する企画、お客さま一人を満足させるオーダーメイドの企画、どれも企画から生産まで優先する設計は異なります。それを目に見えるデータにすることが、デジタル設計の役割と考えます。
モノを創るには、原料から製品完成まで長いプロセスがございますが、自分のモノ創り合わせデータベース化することが重要なります。それはデジタルに依存する感覚ではなく、技術を有効に活用する目的です。頭の中の引き出しを見えるようにすることで、自分が優先するデータに紐つけができます。スマートフォンのメモ機能を活用しデータベース化する感覚です。
このマガジンは若者へ伝えたい情報として、将来自分のアトリエを持つための技術を配信します。読み物としては、全く面白くないと思いますが、自分の服創りで独立を志す方には、役に立てますよう全力で投稿します。お付き合いいただければ光栄です。どうぞよろしくお願いいたします。    2022年10月1日 水谷勝範
 
配信する情報はすべて連番にて投稿します。皆さまと新たなモノ創りの発想へ挑んでいきたいと思います。それではスタートします。
 
 *モデリストマガジンでは、アパレル産業全体の情報を分類することが目的で、詳細な構図など記載しておりませんが、モデリストアプリでは目的に応じ有効な情報を選択できる設計にしております。

<ファッションビジネスの構造>

(これより、すべての情報を連番にて区分します)

1. ファッション産業の商流
私の伝えるファッション産業とは、ファッション小物アクセサリーから衣料製造などアパレル産業を示します。アパレルとは服飾全般を指す言葉ですが、その生産を担うのが狭義のアパレル産業であり、広義には流通を含めファッションビジネス業界と言われています。ファッションビジネス業界の商流は川の流れに例えられ、川上は糸からの繊維産業、川下は小売産業となります。

2. 川上:繊維素材産業
川の上流に位置するのが繊維素材産業であり、原料から繊維を作る紡績業や製糸業、紡糸業、繊維を糸にする撚糸業、糸を仕入れ卸売りする糸商・糸卸で構成されています。糸を生地にするテキスタイルメーカーを川上に位置づけることもありますが、化合繊はアパレル産業の各メーカーに直接卸されるケースもあり、原料や糸は輸出もされています。
 
3. 紡績業
紡績とは、短繊維(ステープルファイバー)と呼ばれる短い糸状の繊維を紡いで長い糸にする工程をさします。「紡」は「わたを引き伸ばす」、「績」は「積み重ねる」の意で、つまり「わたの塊から繊維を引き伸ばして積み重ねて糸にする」ことを紡績と呼んでいます。このプロセスで作られた糸を紡績糸(スパン糸)と言います。
 
糸の原料は天然繊維と化学繊維(合成繊維)に大別されていますが、紡績する短繊維は天然繊維(自然にあるものから取った繊維)が主で、綿や麻、ウール(羊毛)、カシミヤなどを農業や牧畜などの産業で育て原料を生産しています。天然繊維には短繊維が多いですが、蚕の繭から取ったシルク(絹)などの長繊維(フィラメント)もございます。
一方、ペットボトルなどの原料を使用して作るポリエステルなど、人工的な繊維を化学繊維と言います。化学繊維には「三大合繊」とされるポリエステル、ナイロン、アクリルなどがあり、石油等の原料から合成するので合成繊維(合繊)とも呼ばれています。化学繊維には天然繊維の代替として開発するものが増えてきております。
*わたは繊維の塊全般をさし、真綿は絹の原料となる繊維で、「めん(綿)」と言うときは木綿の糸または生地を指します。
 
4. 製糸業
主に天然繊維から糸を作る紡績に対して、繭から生糸を作ることを製糸と言います。繭は1本の長い繊維(繭糸)でできていて、その長さは1000m以上になります。これを数本合わせて目的とする太さの生糸にしていきます。衣料品にするためにはさらに生糸を撚り合わせ、精練・染色などを施した後に生地へと製織されます。
日本の製糸業は幕末の横浜開港で生糸の輸出量が増大したことをきっかけに、人による座繰りから器械製糸への転換が進み、明治期から昭和初期にかけて欧米、とくにアメリカの靴下需要向けとして一大産業に成長しました。しかし戦後、中国やブラジルなど海外の生糸産業のシェア拡大の中で、化合繊の多様化・需要増加により日本の製糸業、絹織物は衰退に向かいます。現在は主に着尺(和服地)に使用されております。
 
5. 紡糸業
紡糸とは、化学繊維を作る工程になりますが、化学繊維はその名が示す通り化学物質を原料にしています。天然繊維のように糸(繊維)状ではないので、原料をいったん液状にしてから糸状にします。代表的な紡糸方法に溶融紡糸、湿式紡糸、乾式紡糸があります。
・溶融紡糸……熱で溶かした繊維原料を小さな孔(ノズル)から空気中や水中に出して冷却固化し、繊維にしていく。ポリエステルやナイロンなど多くの化学繊維がこの方法で作られています。
・乾式紡糸……原料を溶剤に溶かした状態でノズルから押し出し、溶剤を熱風で気化(蒸発)させて繊維状にする。アセテート、アクリル、ビニロンなどに使われています。
・湿式紡糸……溶剤に溶かした繊維原料をノズルで凝固浴の中に押し出し、化学反応をさせた後に溶剤を除去し、繊維にしていく。レーヨン、キュプラ、アクリル、ビニロンなどが作られています。
 
6. 撚糸業
撚糸とは、糸に撚りをかけること、撚りをかけた糸のことを言います。撚糸業は紡績、製糸、紡糸された原糸(生糸)を引き揃えて撚りをかけ、必要な質感や強度を備えた糸に加工していきます。これを糸商や商社に納め、糸商や商社から織物(布帛)や編物のテキスタイルメーカー、染色加工業、染色整理業、生地商に渡っていきます。
 
7. 糸商・糸卸
織糸、編糸、レース糸、縫糸などを織物メーカーやニット製造業者(ニッター)、撚糸業者、レースメーカー、刺繍メーカー、縫製業者などに供給しています。
 
次号は、8. 川中 / アパレル産業の情報を解説します。

追伸・・・糸の気持ち・・・
糸のことなど、知らなくても服は作れますが
糸の撚りが強ければ・・・
生地も硬く仕上がることに気が付きます。

美しさを追求すると・・・
糸の特性を自然と感じるようになります。

そっとアイロンをかける
その気持ちに応えてくれます・・・
生地も、やはり生き物ですから。

私が助け合いたいのは、人間だけではないです。

生地も材料も、みんなで活かしあえたら
モノを大切にする心は・・・自然と宿ります。

それは、服を着る方にも伝わるモノです。

私たちも、お客さまに寄り添えることが
モノを創る価値につながっていると感じます。

世界各国の仲間たちと・・・ファッションを通じ
みんなが理解し合える努力をしたいと思います。
2022年10月1日 水谷勝範


Webからファッションを創る、それが私たちのプロジェクトです。服作りとはいえ、私たちが大切にしていることは、お互い共存し成長できる社会になることです。皆さまとの出会いを愉しみにしております。水谷勝範