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ファッションビジネスの構造 Ⅱ / Fashion Creator note Magazine vol.3

<モデリスト コラム1>
今回はファッションビジネス構造Ⅱとして前回に続き、川中から川下の区分と、アパレル商品を生産する業態ならびに生産形態について解説します。

現在ファッション産業は、EC事業を始め産業構造は大きく変化しております。私たちの業界でもSDGsは正いと理解しておりますが、組織の変わることの難しさを痛感しております。なぜ私が、ゼロから業界全体の流れを伝えたいのかと申しますと、私たちが歩んだ道を解説することで、次世代に向かい疑問を抱いていただきたいと考えるからです。服を創るには長大なプロセスがあり、多くの方が支えられてきた労働集約産業でした。私たちは何を変えるべきか、そう考えたとき、お客さまと情報を共有しながら新しい道を進む必要があると考えました。

いま世界でも、国内でも経済的格差は広がっております。いろんな価値観が存在するなか、行き場のない企業は低価格競争を選択します。安い服を創るには、いろんな知恵が必要になり、その努力は壮絶なものです。しかし私は、そのビジネス思考そのものを変えていく必要があると感じます。

いままで日本市場は、便利で都合が良いという商品に満たされておりました。しかし企業が誘導する先に、次世代も幸せを感じれるとは限りません。政治家や企業経営者は、利益を高めることを重視する、それが役割と考えるのは当然です。

次世代に必要なのは、一人ひとりが自分の人生を生きることです。自分ひとりでは、世の中、何も変わらないと思わないことです。消費者が変われば、世の中は変わります。政治家も経営者も追随します。馬鹿げた考えに思われるかもしれませんが、一つの品物に対し原料を知り、その品が廃棄される最後まで知る、そこからしか、私たちは変われない気がします。変わる必要があるのは、私たちの心の在り方であり行動力です。

私はそう考え、1枚生産の道を選択しました。いままでの産業構造からすれば、矛盾していることがたくさんあります。しかし、次世代の若者には必要に思えます。人間が働き、新たな価値を創り出す発想が大切です。
それでは、ファッション産業の長大なプロセスをご案内します。
2022.10.2. 水谷勝範。

*モデリストマガジンでは、アパレル産業全体の情報を分類することが目的で、詳細な構図など記載しておりませんが、モデリストアプリでは目的に応じ有効な情報を選択できる設計にしております。

<Fashion Creator note Magazine 3>

前回、アパレル産業の川上情報に触れましたので、川中 / アパレル産業の情報からご案内します。

8. 川中: アパレル産業
川中として区分しますと、川上で製造された糸から生地を作るテキスタイルメーカーや生地商から始まり、この生地を加工する染色加工業や整理業へ、そして商品化へ向けて企画、デザイン、設計するアパレルメーカー、生地を服に仕上げる生産(縫製)工場で構成されています。

テキスタイルメーカーは織物、ニット、レース、不織布、フエルトなどの分野に大別されます。織物メーカーは織布メーカー、織布業者、機屋とも呼ばれ、綿織物や毛織物、絹織物、麻織物、化合繊織物の各専業者があります。ニット生地メーカーは丸編や経編の生地を生産する企業のことで、ニッターとも言われます。レースメーカーはアパレル向けの広幅生地、副資材やインテリアなどの生地を製造しています。レースは古くから国内外で生産され、エンブロイダリーレースやリバーレース、ラッシェルレースなど多様にあります。

これらテキスタイルメーカーとアパレルメーカーをつなぐ役割を担うのが、総合商社の生地部門や生地商(服地コンバーター、産元商社)になります。生地商には婦人服地や紳士服地、シャツ地、ブラウス地、着尺などを扱う織物卸商のほか、ニットやレースなどの専業卸商があります。
裏地や芯地、ボタン、ファスナー、パッド、テープ、ブレード、縫糸、刺繍糸などの副資材は専門のメーカーや加工業が製造しています。織ネームや下げ札なども副資材に含まれ、副資材全般を扱う卸商も存在します。

これらの生地(資材)や副資材(付属品)など、アパレルメーカーをはじめとするマーチャンダイジング(商品化計画=MD)に携わる企業が、企画・デザイン・パターン製作などサンプルによる確認・修正を経て、縫製仕様書とともに国内外の縫製工場に生産を発注します。このことを職出しと言います。縫製された商品は第三者検査機関による検品を経て、物流業者により店頭に納品されます。

9. 川下: 流通産業
川上から川中を経て作られた商品を市場に販売しますが、流通産業は有店舗と無店舗に大別され、それぞれに多様な小売業態が展開されています。有店舗小売業態には専門店、百貨店、ショッピングセンター(SC)があり、無店舗小売業態には通信販売や訪問販売などがあります。

10. 専門店
専門店としては、品揃え型、製造小売型、フランチャイズチェーン(FC)型に大別されます。
・品揃え型専門店
品揃え型専門店とは、メーカーや卸から商品を仕入れて販売する専門店のことです。店の主張を体現する服や雑貨などを国内外から買い付けて販売するセレクトショップ、独自の世界観を追求するコンセプトショップ、同じ商品構成の店を全国展開するナショナルチェーン(NC)があります。

・製造小売り型(SPA)
製造小売り型(SPA)とは、自ら商品を作り販売する業態で、SPA(Specialty store retailer of Private label Apparelの略)と呼ばれています。小売業出身とアパレルメーカー出身があり、小売業出身のSPAは提携工場に生産を委託し、メーカー出身のSPAは自社工場で生産を行います。

・FC型
FC型とは、フランチャイザー(本部)がフランチャイジー(加盟店)に商品や販売方法、サービス、店舗設計などのノウハウを提供し、運営される小売業態です。加盟店は本部に対して、定められたロイヤルティーを支払います。

11. 百貨店
経済産業省商業統計調査の基準では、百貨店とは「衣・食・住の商品群の販売額がいずれも10%以上70%未満の範囲内にあると同時に、従業者が常時50人以上おり、かつ売り場面積の50%以上において対面販売を行う業態」と定義されています。「大型百貨店」と「その他の百貨店」に分かれ、大型百貨店は売り場面積3000m²以上(東京特別区および政令指定都市では6000m²以上)とされます。

百貨店は高価格帯を中心に衣・食・住のあらゆる商品を揃え、質の高いMDとサービスの提供により、高度経済成長時代を象徴する業態として成長してきました。とくに1980年代後半のバブル期には売上高が急増し、1991年には9兆7130億円とピークに達しましたが、その後は景気の長期低迷やライフスタイルの多様化、ショッピングセンターの増加やネット通販の急拡大などを背景に低迷となりました。若年層を取り込めていないことも要因の1つと考えます。2010年代からはインバウンド(訪日外国人観光客)の購買も急増しましたが、2018年の売上高は5兆8870億円と3年連続で6兆円を割り、減少基調から抜け出せていません。2020年には新型コロナウイルスの感染拡大によりインバウンド需要も当面は望めなくなりました。

百貨店の現状は、長年のリスク回避によるところが大きく、基本的に小売業に分類されていますが、その売り場はアパレルメーカーのブランドへの“ハコ貸し”が大半を占め、消化仕入れによる取引が常態化しています。ブランドの派遣販売員が販売し、売れなかった商品は返品、売れた分を仕入れたことにする習慣がございます。長らくこの取引形態を続けてきた結果、百貨店の自主MDによる平場は減退し、活性策としてプライベートブランド(PB)の開発に取り組んでも継続しないということを繰り返してきました。ECを生かしたオムニチャネル戦略をどう実現するか、それを有効に機能させる人材が育つ仕組みの構築が大きな課題と言えます。

12. ショッピングセンター(SC)
日本ショッピングセンター協会は、ショッピングセンターを一つの単位として、計画から開発、所有、管理運営される商業とサービス施設の集合体で駐車場を備えるものとし、その立地、規模、構成に応じて、選択の多様性、利便性、快適性、娯楽性等を提供するなど、生活者ニーズに応えるコミュニティ施設として都市機能の一翼を担うものと定義しています。

主にキーテナントによって量販店(GMS)型、百貨店型、複数のキーテナントを持つ複合核型、さらにキーテナントを持たない専門店型に分類されます。商業ビルや駅ビル、エキナカ、地下街など、施設の形態で分類されることもありますが、これら施設に加え、近年は高速道路のサービスエリア(SA)や空港の商業施設などのトラフィックチャネルの開発も活発化しています。
テナント構成によっては一般に、次のようにも分類されます。
・スペシャルティーセンター
キーテナントがなく、専門店と飲食店で構成されるSC。
・ファッションビル
多様なファッション専門店が出店しているビル形式のスペシャルティーセンター。
・ライフスタイルセンター
明確な定義はありませんが、日本ショッピングセンター協会は、特徴として ①オープンモールで路面商店街のイメージを強調、②核店舗は百貨店などではなく、書籍や家庭用品、スポーツ用品などの大型専門店、③高品質で生活提案力のある専門店が集合、④同規模ショッピングセンターと比較して飲食店比率が高い、⑤規模はNSC、CSCレベルの面積、⑥環境に配慮した施設、⑦快適性を重視し、地域生活者のコミュニティの中心的役割を果たすなどとしています。
・パワーセンター
特定分野に特化したカテゴリーキラーなどディスカウント系の小売店を集積したSC。
・アウトレットモール
メーカーが型落ち商品や難あり商品、在庫品などを処分することを目的に運営する直営店(アウトレット=はけ口)を集積したディスカウント型SC。
・オフプライスストア
ブランドの在庫品を買い取り、正規価格よりも低価格で販売する業態。アメリカで拡大しています。

13. 無店舗販売
インターネットやテレビ、カタログなどを介して注文を取る通信販売、お客様のもとに出向く訪問販売などがあります。

近年、とみに拡大しているのがEコマース(EC)であり、様々な分野・ブランドを集積したECモールが存在しますが、その先駆であるアメリカのアマゾンがサービスを開始したのは1995年になります。日本では1997年に楽天市場、2000年にアマゾンジャパン、イープローズ(現ゾゾタウン)が運営を開始しています。以降、アパレルメーカーや小売業などの直営ECが続々と立ち上がり、大手ECモールへの出店も相次ぎ、スマートフォンの普及とともに消費者のEC利用も増加を続けています。

2019年5月に経済産業省が発表した「電子商取引に関する市場調査」では、2018年度の国内BtoCの衣類・雑貨もEC市場規模は1兆7728億円(前年比7.74%増)、EC化率は12.96%となった。購買層は30代女性が多く、スマホ経由の購買が50%以上と推計されています。

アメリカでは、メーカーが中間業者や小売業者を介することなく、ECサイトで直接、消費者に商品を販売するDtoC(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)のビジネスモデルが続々と生まれており、ファッションでは価格の背景、つまり原材料や生産工程、工賃など原価や利益を公開したうえで販売するエバーレーンなどが躍進しています。このような業態がECを軸にしながら、商品を実際に見て試着もできる実店舗を出店する動きも見られるようになりました。実店舗ありきの発想ではなく、オンラインを起点にウェブルーミング、ショールーミングに対応するオムニチャネル化により支持を広げています。

一方、フリマアプリの普及に見られるように、中古品(二次流通商品)を集積し販売する業態も支持を拡大しています。矢野経済研究所によりますと、国内のファッションリユースの市場規模は年々拡大を続け、2019年は7200億円。アメリカは2兆円を超える規模になってなお伸長しています。リユースまで含めたアパレル商品の循環型の生産・流通構造がますます重視されることが予想されます。

 以上、川上から川中、川下と区分される業態となります。

商品を生産する業態と生産形態

アパレル商品は、これまで述べてきたような分業によって市場に供給されています。ただ、近年は小売業やテキスタイルメーカー、縫製工場などにも自社ブランドを展開する企業が現れ、多様な物作りが行われています。そのためアパレル商品の供給チャネルは、原料メーカーから小売業に及ぶ長大さに加え、複雑な形態になっています。
アパレル商品を生産する主な業態は次の通りになります。自ら商品を企画・設計・製造する、自らは企画・設計までを行って製造を工場に委託する、工場が自ら企画・製造し販売まで行うなど、その形態は様々になります。

14. アパレルメーカー
アパレル商品の開発を本業とするのがアパレルメーカーになります。海外では一般に、自前の生産設備を持ち、縫製や編立てを行う工場のことをアパレルメーカーと呼びますが、日本では既製服の製造卸のことをアパレルメーカーとし、略してアパレルとも言います。

アパレルメーカーは既製服の企画、デザイン、パターン、縫製仕様を作成し、生地や副資材を調達して、生産は縫製工場に依頼しているケースが一般的になります。ニットの場合は、自社で商品を企画し、デザインや設計、生産は主にニッターの機能を活用しています。これら商品の卸し先となる小売業態の構成比によって百貨店アパレル、量販店アパレル、専門店アパレルと呼び分けられています。
また、取り扱う服種によっては、総合アパレルと専業アパレルに分類されます。
・総合アパレル……婦人服、紳士服、子供服など全ジャンルを扱うアパレルメーカー。百貨店アパレルを中心とする大企業が中心
・専業アパレル……特定の服種に特化したアパレルメーカー。レディス、メンズ、ヤングカジュアル、ベビー・子供服、インナーウェア、アウトドアウェア、スポーツウェア、ユニフォームなどがあり、企業規模は様々

15. SPA
SPA(製造小売業)は1980年代にアメリカのギャップが始め、日本ではデザイナーズブランドや郊外型紳士服専門店に萌芽し、90年代にアパレルメーカーや小売業に広まり、総合アパレル大手、並びにファストファッション企業が中心となります。お客様との接点となる店頭と工場を直結させることで売れ筋を期中に生産・投入でき、売り逃しや在庫ロスを軽減する供給システムとして一世を風靡しました。中間流通をなくし、自社で製造も小売りもするため収益も高まるというメリットがあます。

それまでのアパレルメーカーのプロダクトアウト型の物作りに対して、SPAは市場の情報を起点とするマーケットイン型の物作りによって成長を遂げ、ファッション商品供給の理想形とされました。しかしマーケットインによってかえって商品の同質化が進み、海外ファストファッションの進出も加わり価格競争も激化し、売れ筋追求に陥り、かつてのメリットを発揮できない状況にあります。消費者ニーズの多様化やファッション需要の減退に加え、EC市場の拡大、過剰生産を背景とした売れ残り品の廃棄による環境問題の深刻化、さらに新型コロナウイルスの感染拡大の影響など課題は山積し、他の小売業態とともにサプライチェーンそのものの見直しが迫られています。

次に小売業者によるブランド開発について解説します。

品揃えの同質化が進む中で、競合との差別化を図り、収益を拡大するため、小売業者による自社ブランドの開発が増えています。メーカーから仕入れるナショナルブランド(NB、メーカーブランド)に対して、小売業者が独自に展開するブランドにはプライベートブランドとストアブランドがあます。

16. プライベートブランド(PB)
小売業者などの流通業者がメーカーに依頼して企画・開発・製造・販売する自社ブランドのことをさします。自社の主張や顧客の声を商品に反映でき、基本的にすべて買い取りなので自社で価格設定もできるため、ブランドの方向性に沿って販売戦略や利益確保を狙うことができます。品質に対する責任や在庫リスクは小売業者が負うことになります。

17. ストアブランド(SB)
小売業者などの流通業者が、メーカーの既存商品の品質や価格を改善して販売する自社ブランドをさします。

18. ファクトリーブランド
生産の海外シフトが進み、国内産地の疲弊が進み、服作りに携わる国内の工場が自社の特徴や得意とする技術を生かし、企画・デザイン・生産・販売することで活路を見出そうとファクトリーブランドへの取り組みが始まりました。織物や編物、皮革、縫製などの工場が自社ブランドを開発し、直営店やセレクトショップなどで販売するケースが増加しています。デザインや流通、プロモーションが課題とされていますが、メイド・イン・ジャパンの確かな品質や直販によるリーズナブルな価格が魅力になっています。

19. アパレル商品の生産形態
アパレル商品は量産を基本として様々な業態によって生産されています。その生産形態には前述したSPA、そしてOEM、ODMがあり、ニーズやウォンツの個別化が進み、過剰生産による在庫廃棄が環境問題にもなっている昨今は、新たなオーダーメイド(受注生産によるカスタマイズ対応)のあり方も注目されています。

20. OEM
OEMは、Original Equipment Manufacturing、Original Equipment Manufacturerの略語で、「相手先ブランドによる生産」と訳されます。自社ブランドを他社で製造してもらうことで、自前の工場を持っていない企業が、自社ブランドの商品を製造したり、自社の工場では製造できない商品を製造するときに利用します。

自前の生産設備(工場)を備えているアパレルメーカーは実は少なく、多くは下請けや協力関係にある縫製工場で生産しています。縫製工場は縫うことが専門のため、デザインやパターン、資材(生地)・副資材(裏地、ボタンなど)は発注する側であるアパレルメーカーが手配します。

21. ODM
Original Design Manufacturingの略語です。「相手先ブランドによる設計・生産」を意味し、OEMに「Design=設計」が加わった業務、業態のことを言います。

以前はアパレルメーカーがデザインやパターンを作成し、生地や副資材も用意していましたが、近年はデザイン部門の縮小、生地を目利きできる人材の減少もあり、そこまではできないアパレルメーカーも増えました。織物はもとより、セーターなどのニット製品についても同様な状況にあります。

そうした事情から増加したのが、「こんなデザインの服をいつまでに何着お願いします」と頼めば、その通りに製造して納めてくれる企業、すなわち商社や服地コンバーター、同業のアパレルメーカーなどに依頼します。取引先の発注をまとめ、アイテムごとに製造する工場を組織し、材料を調達し、製造し、納品します。

22. 商社経由の生産
商社は、繊維原料の輸入、生地の製造・輸出、さらにアパレル商品の企画、生産、小売業への卸などのサービスを提供しています。原料調達から生産、流通までをカバーし、海外でのビジネスに長けた商社は、ビジネスサポーターとして重要な存在になっています。

商社は総合商社と繊維商社に大別される。主な総合商社に伊藤忠商事、住友商事、トーメン、三井物産、丸紅、三菱商事、双日など、主な繊維商社に蝶理、住金物産、豊島、ヤギ、帝人商事、GISクレオス、モリリン、新興産業、三共生興、田村駒、瀧定名古屋、瀧定大阪、タキヒヨー、丸増などがあります。
これらのうちファッションビジネスを手がける商社を、アパレル商社と言い、アパレル商社は一般的に海外生産を一貫管理し、資材の手配、生産工場・検品業者の管理、貿易業務を経て、商品を指定の倉庫へ納めます。また3つの業態(A、B、C)に大別されます。

A商社は、海外ライセンス商品、国内アパレル商品の仕入れから販売までを担い、貿易業務、生産期間中の資金管理がその役割になります。

B商社は、アパレル商品の資材を供給する形態で、アパレルメーカーの企画に沿って資材を揃え、生産工場で加工し、倉庫管理までを担います。倉庫から出荷された段階で売り上げになり、海外生産の場合、B商社の業務形態が多くのアパレル企業に活用されています。

C商社は、商品企画に始まり、資材供給から生産、倉庫管理までを担い、小売企業に商品を販売しています。

近年は小売り、商品企画、生産など川下から川上まで商社による資本提携が進み、商社の担う業務が増しています。国内人口の減少やデジタル化の進展で世界が市場として想定される今後は、商社が中心となってアパレルメーカーや生産工場をチーム化し、現地の生活者が望むファッションを届けることが、これまで以上に増加すると予想されます。


次にオーダーによる服作りについて解説します。

オーダーは、個客にとっての選択の自由度を基準にすると、フルオーダー(オーダーメイド)、イージーオーダー、セミオーダー(パターンオーダー)に分類できます。

23. フルオーダー(オーダーメイド)
既製服はデザインされて作られた服、つまりレディメイドになります。それに対してオーダーメイドは、注文を受けてから個客の好みや要望、体型などに応じて作る服、またはその工程を指します。オーダーメイドは和製英語で、日本ではフルオーダーとも言いますが、海外ではビスポーク(bispoke)、メイド・トゥ・オーダー(made to order)、メイド・トゥ・メジャー(made to measure)、テーラーメイド(taylor made)が用いられます。

24. イージーオーダー(カスタムオーダー)
生地を選んだら、CADで作成されたマスターパターンのゲージ服(サンプル)を試着し、いかり肩や猫背などの体型補正やデザイン変更に対応します。変更の対応範囲は店や工場によって異なり、カスタムオーダー、マシンメイド、コンピューターオーダーとも呼ばれます。

25. セミオーダー(パターンオーダー)
セミはラテン語で半分を意味し、フルオーダーやイージーオーダーよりも選択肢は狭まります。パターンオーダーとも呼ばれ、いくつかの決まったパターンから消費者が体型や好みに合わせてサイズや生地、仕様を選べ、注文服的な衣服を生産・販売する方法のことをさします。フルオーダーでは原型から型紙を作りますが、セミオーダーでは型紙は作らず、個客にゲージ服を着てもらい、サイズや着心地を調整します。袖丈など一定の補正は可能ですが、標準的な体形の人向きになります。工場で大量生産するためオーダー服の中では安価で、納期も3週間前後と早めとなります。

26. カスタマイズ生産
オーダーの本質は、個客の価値観を反映する服作りになります。日本でも最近需要が増え、オーダーメイド事業に参入するアパレルメーカーやDtoC企業が増加しています。その魅力となっているのが、本来のオーダーメイドよりも手軽な価格となるカスタマイズ企画になりますが、ただ人口が減少に向かい、所得格差も広がる日本でビジネス化するには価格競争をせざるを得ない状況にあります。デザインで差別化したとしても、コストを圧縮して現状の生産工場が継続して対応することは困難になります。商品企画から生産現場まで一貫した服作りと適正な利益分配ができるシステムの確立が必須となります。

カスタマイズ生産は、商品企画段階でデザインをオンライン公開し、お客様から仮発注を受けた段階で生産計画を立て、一人ひとりの体型や好みに合わせて調整していきます。企画・設計や顧客情報をデータベース化し、CAD・CAMに連携できれば、現状の生産管理体制で同じデザインでも1枚1枚違うものを作ることが可能になります。

カスタマイズ生産には、顧客の体型バランスに沿った服作りができ、要望に応じて仕様変更も可能という利点があります。受注生産であるため、無駄な在庫の解消にもつながり、また消費者のファッションに対する満足度が高まり、価値観が変われば、高いロス率や大量の廃棄を低減するきっかけになることが期待されます。

以上、商品を生産する業態と生産形態にまります。

次回は、もっと面白くない原料繊維について解説します。
しかし、モノ創りを志す方には避けて通れない道です。
どうぞ、辛抱してくださいませ。

追伸・・・
私が海外の若者に接するのは、いろんな人々の生き方を認識するためです
日本では想像もできない環境、価値観もございます。

国外だからと、無視することもできますが・・・
その思考は、国内でも同じ行動をすることになります。

人それぞれ、生き方は異なりますが・・・
それを理解した上で、共存する知恵が大切です。
次世代は、やはり地球人として
共存し合う感覚を育んでいくことが必要に思います。

それでは次回も、どうぞ よろしくお願いいたします。
ファッションクリエイター株式会社  水谷勝範

Webからファッションを創る、それが私たちのプロジェクトです。服作りとはいえ、私たちが大切にしていることは、お互い共存し成長できる社会になることです。皆さまとの出会いを愉しみにしております。水谷勝範