窒素固定④ 細菌の窒素固定を助ける植物

ダイズなどのマメ科植物は成長に必須な窒素源を確保するために,根粒と呼ばれる器官を根に形成し,その中に窒素固定を行う細菌(根粒菌)を共生させています.

マメ科植物は根粒内部の酸素濃度を調整するために,酸素を吸着するタンパク質 レグヘモグロビン を根粒内に投入することが知られています.

レグヘモグロビンの調整によって,窒素固定を担う酵素であるニトロゲナーゼが高濃度の酸素に曝露しないように保護しつつ,根粒菌にある程度の酸素を提供することで根粒菌の呼吸を保障しています. 素晴らしいバランス調整ですね.

さらに植物は,ニトロゲナーゼが窒素固定を行うために用いる鉄-モリブデン-ホモクエン酸補酵素の構成成分であるホモクエン酸を根粒菌に供給しており(根粒菌はホモクエン酸を自分では合成できない),強固な共生関係を構築していることが分かります,(https://www.nature.com/articles/nature08594).


生物にとって必須な窒素をどのように確保するのか.  これは生物の進化の中でずっと課題として存在し,様々なトライアルが行われ,生物が編み出した解決策の例をここまで紹介してきました.  他にも興味深い解決策がきっとありそうです.  窒素固定のお話はここまでにしたいと思います.  

次回から「突然変異」について書いていきます.

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