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突然変異① ダーウィンと進化論


「突然変異」という言葉を聞くと,ほとんどの生物学者が真っ先に頭に浮かぶのは,1859年に出版されたチャールズ・ダーウィンの著書『種の起源(原著タイトル:On the Origin of Species by Means of Natural Selection, or the Preservation of Favoured Races in the Struggle for Life)』ではないでしょうか.

現代に生きる私たちにとっては意外なことに『種の起源』は,出版当時は科学書ではなく神学書として認知されていた ようです.なぜなら,著者であるダーウィン自身がケンブリッジ大学で神学を学んでおり,生物は神が創造されたものであり,生物の進化は認めるものの,生物が進化する法則すらも神が創造されたものである とみなしていたと考えられているからです(さらに詳しく知りたい方は,更科功さん著『進化論はいかに進化したか』をご覧ください.).

ダーウィンは同種の生き物の中に個体差があり,その個体差が生存できるかどうかに重要であると考え,個体差の中で有利なものが生き残るという「自然選択」の概念を提案しました.

ここで言われる個体差というのは,個体差を評価するパラメーター(例えば体の大きさや角の大きさ,鳥であれは羽の色や歌声,保護色や擬態能力)の違いのことであり,生き残るための最適なパラメーターがより多く次世代に継承されます.この次世代に継承されるパラメーターを司る因子のことを,私たちは 遺伝子 と呼んでいます.

(突然変異②に続く)


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