窒素固定② 酵素ニトロゲナーゼ

窒素固定とは窒素ガスをアンモニアへと変換する反応であり,化学反応式を書くと以下のようになります.
N2+8H++8e-+16ATP → 2NH3+H2+16ADP

1分子の窒素をアンモニアに変換するために16分子ものATPを必要とする非常にコストのかかる反応です.

この反応を担う酵素は,ニトロゲナーゼと呼ばれます.
ニトロゲナーゼは内部に鉄-硫黄クラスターや鉄-モリブデン-ホモクエン酸クラスターを持つことで窒素固定を可能にしている一方で,
酸素により瞬時に不可逆的に不活性化されるという性質も合わせ持ちます.(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6016461/

Science誌で紹介された窒素固定シアノバクテリアは“非光合成”であることが重要と前回の記事で解説しました.光合成では光化学系IIにおいて,
光エネルギーを用いて水から電子を引き抜くことで酸素が発生します.

前述のように,酸素はニトロゲナーゼを不活性化するため,光合成と窒素固定をそのまま両立することは難しくなります.そこで窒素固定を担うシアノバクテリアは光合成をやめるという戦略をとったのです.

しかし,光合成と窒素固定を両立しているシアノバクテリアも知られています.では,このシアノバクテリアはどのようにして,光合成と窒素固定を
両立しているのでしょうか?

(窒素固定③に続く)

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