窒素固定① 窒素固定って何?

先月,科学誌Scienceに
“Nitrogen-fixing organelle in a marine alga(海洋藻類における窒素固定細胞小器官)”というタイトルの論文が発表され,アカデミアの生物学界隈で話題になりました(https://www.science.org/doi/10.1126/science.adk1075).

なぜ話題になったのかというと,これまでに報告されている窒素固定を行う生物はすべて原核生物であり,真核生物では窒素固定を行う生物が知られていなかったからです.

論文自体は窒素固定を行う真核生物を見つけた!(どうだ!凄いだろ!!)という感じではなく,窒素固定を行う細菌(原核生物)をまるで細胞小器官のように共生させているという内容でした.大発見です。

窒素は生物が生きていくために必須な元素ですが,窒素固定能がない生物は空気中の窒素を窒素源として利用できません.

この空気中に豊富に存在する窒素を,真核生物が窒素源として利用できるアンモニアに変換する反応を窒素固定と呼びます.

この論文で窒素固定を担う共生者として紹介されている細菌は,
Candidatus Atelocyanobacterium thalassa
もしくはUCYN-Aと現在命名されている細菌で,海洋において窒素固定を担っている
非光合成型シアノバクテリアです.

シアノバクテリアというと海洋表層にたくさん居て,光合成を行っていますが,窒素固定に関しては,
この“非光合成”という性質が非常に重要になってきます.

(窒素固定②に続く)

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