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だからわたしはうつわが好き

わたしと磁器との出会いは、大学生のとき。大学の授業で中国文化を広く扱う授業があって、その中で陶磁器をテーマにした回があった。器をテーマにした授業は1回だけ。それでも、教授が次々と紹介してくれる白磁や青磁、青花(染付)、五彩の張りつめた美しさに息をのんだ。

初めてうつわを美しいと思ったのが磁器だったから、わたしは磁器をひいきしている。

磁器? 陶器となにが違うの? 陶磁器っていっしょに呼ぶんだからどっちでもよくない? と思われるのもごもっとも。
でもnoteの数ある記事の中から当たった多生の縁(不運)てことで、めんどくさいうんちくにちょっとお付き合いください苦笑。

磁器と陶器は原料が違う。
磁器はガラス質を含む石で、陶器は粘土の土。これによって焼成温度が違って、高温で焼ける磁器は薄くつくることができる。
日本で磁器の産地は少なく、有田、波佐見、九谷、砥部、美濃、瀬戸くらい(磁器と陶器の両方を扱っている産地もある)で、ほかはほぼ陶器の産地だ。

陶器は、土のぽってりした温かみがある。釉薬での遊びもおもしろい。
磁器は、薄く張りつめた緊張感がある。華やかな絵付けもいい。
どちらもそれぞれよさがあって、まさに「みんなちがってみんないい」なので単純に好みの問題だ。
わたしは基本的に磁器が好きだけど、うつわが好きだから陶器も持っている。和食に合わせるとやっぱりしっくりくるし、洋食にも意外と雰囲気が合うので楽しい。

陶磁器は美術品であり、日用品でもあるところがいい。
陶磁器には、うつわであるという制約がある。すなわち、穴が空いてたり、はちゃめちゃな形では成立しない(鑑賞用のものもあるけどね)。
そして「焼成」という工程があるため、狙い通りの色を出すのがむずかしい。絵画のように塗った色が出るのではないし、混ぜれば新しい色ができるものでもないから、限られた色での勝負になる。
形も色も制約のなかで表現になるけど、わたしには分かりやすくて心地よく感じられる。

そして、そうやってつくられた品を実際に使えるのだ。昔の貴族ではないから美術品ってものはもちろんないけど、その技術の端切れくらいは活かされてる。
手に取ることができ、料理を引き立て、日常を彩ってくれるから、うつわが好きなのだ。

◇◇◇

なんでこんなにうつわへの愛を語ったかというと、今日、波佐見に行ってきたからです。
8年ぶりの平日の波佐見。休日には何回か行ってたんだけど、今回は平日しか開いていない窯元に行けたので脳汁がビシャビシャでした。
おかげで5年くらいは禁断症状なく生きていけそうです。

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