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エッセイ・散文

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鍵と鍵穴 〔エッセイ〕

 私は、鍵がたまらなく好きだ。あの形状、質感、そして、そっと鍵穴に差し込んでかちゃりと回す時のあの感触と音。できればバーネットの小説「秘密の花園」に出てくるような、古い洋館で使われる鍵が望ましい。持ち手の部分は丸く、鍵穴に差し込む部分にはいくつかの突起が付いているような、そんなアンティークの鍵である。

 しかし、これほどに鍵への憧れと執着を抱いているにも関わらず、そのような自分好みの鍵を手に入れ

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