#やさしい医療情報 SNSの外にも広げていく1年に
2019年を振り返って、最もハードだったけど挑戦してよかったと思っていることのひとつが、「#やさしい医療情報」のイベント開催だった。至らない点も多々あったかと思いますが、登壇くださった先生方、お越し下さった皆さま、本当にありがとうございました。
9月29日、SNSで医療情報を発信したり拡散したりしている医師たち(ヤンデル先生・大須賀先生・けいゆう先生・ほむほむ先生とそうそうたるメンバー)と編集者たらればさんが集結したイベント。おーつか先生は音声出演してくれました。ヤンデル先生が書いてくれた『アレクサ、看取って』というnoteのマガジンに詳しいけれど、先生がたの講演はこれでもかというぐらい濃密だった。
会場にお越し下さったなかにもたくさんの発信者がいて、とっても熱量が高かった。患者家族団体の方から「あのイベントがきっかけで『発信していこう』と覚悟を決めました」と言われたのも嬉しかったし、友人が「この1年間、医療界隈で印象に残ったこと」に、#やさしい医療情報のイベントを挙げてくれていたのにはウルッときた。
めちゃくちゃ私事だけど、昨年5月に異動してから医療の取材・情報発信が〝本業〟ではなくなってしまった。悔しかったし、仕事として取材して発信できる人がうらやましかった。それでも、動いたり学び続けたりしていれば、こんな機会を頂くこともあるんだなぁとありがたかった。
そして何よりも、それこそ医療情報の発信が〝本業〟ではない先生がたが、「情報発信も医療のひとつ」「患者さんの役に立てば」と発信を続けていること。その熱い思いに心を打たれた。
さらに、大須賀先生の「発信する専門家に任せていていいのか。個人に責任を負わせるやり方には重い負担がある」という指摘は、メディアにいる一人として受け止めなければいけないと思っている。
ここ1年ほどで、ネット上の〝テキスト〟の医療情報はかなり前進したと感じる。けいゆう先生が指摘するように、プラットフォーム側も怪しい医療情報が拡散されないようにそれぞれ努力していて、Twitterで「ワクチン」と検索すれば、厚生労働省の情報に誘導されるようトップに表示が出る。
ただ、YouTubeの医療情報がなかなかにやばい。けいゆう先生も新年早々パトロールされていた…。
さらには、SNSの外にも「やさしい医療情報」を届けられるようにしなきゃって思う。そのためには、発信するだけじゃなくて、その人にフィットする科学的根拠のある医療情報を選別して届けることもメディアの大事な役割なんだろうと感じている。
行政に「分かりやすい医療情報の発信に人手(予算)を割いてほしい」と訴え続けることも必要なんだろうな。個人的には、義務教育で「医療のかかり方」や「情報の見極め方・調べ方」を教えてほしいって心から思う。わたしももっと早く知りたかった。(そしてもっと個人的には、思春期の学生向けに文化人類学者・磯野真穂さんから『ダイエット幻想』の授業もやってほしい)
そして根拠の乏しい〝健康本〟や、その本の広告の問題についても考えていかなければ。それはメディアがどんな風に収益を得ていくか、持続可能であるかを考えることにもつながると思う。
めちゃくちゃやること山積みだ。対するわたしは本当に微力だけれど、それでも今年も、記事・動画を含めた「コンテンツ」やイベントを通して、人と人とをつないでいきたい。そうして、少しでも息のしやすい人が社会に増えたらいいなぁと願う。
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